【25】異国文化と飛行機と(終)

羽田空港発の飛行機が到着したという

アナウンスが流れ、到着便の出口付近は

帰省客を迎える人達で溢れかえっている。

長崎に着いて数十分、彼をどうやって

出迎えるのがいいのかを考えてみたが全く

思い付かない。開き直った私は二階にある

喫茶店でコーヒーを飲みながらただひたすら待つことに決めた。席に着き、飲み物に口をつけようとしたところでスマホの着信音が鳴る。

いつもタイミングが悪い彼氏様からだった。


「はるさ~ん、着いたよ?どこにいるの?」


『お疲れ様~、二階の喫茶店にいるから

とりあえずここまで来てくれる?』


「了解~!!」


現れた彼は、いつものリュックを一つ

背負っているだけの様子。

三日間も旅行するというのにこの軽装?


『え、稜さん荷物それだけですか?』


「はるさ~ん!!会いたかったよ~!!え?荷物少ないかな?さてここでお待ちかねのクイズタ~イム!俺はなぜ、長旅だというのに軽装で両手を自由にしているのでしょうか!?」


ニコニコと嬉しそうな表情をしながら、

久しぶりのクイズタイムが始まった。

機嫌もよさそうだし、とりあえず不安の種だった飛行機は大丈夫だったみたいだ。


『ん~中年だし、荷物を手で持つのが辛い?

もしくは、あれ、四十肩だな?』


「ブブーッ!正解は…、感動の再会後に

"稜さん会いたかったよ~!"と言いながら

駆け寄ってくるはずの、はるさんをすぐに

抱き締められるようにでした~♪』


『……はい。稜さん、もうすぐレンタカーの送迎バスくるからそろそろ行くよ?』


「え?え?ハグしないの~???」


店を出ると、隣にきた彼の顔を見ながら

脇腹にグーパンチをお見舞いする。


「なんだよ~はるさん?もう、俺に会って

嬉しすぎるからってパンチはないわよ?」


『ばーか。』

やはり彼といると包まれているような心地よさを感じる。さりげなく私が持っていたバックを取り、自分の右肩に掛けると左手で私の右手を握りしめる彼。本当に優しい人だな。


「それではレンタカー屋さんに

向かって~?レッツラゴ~♪」


彼お得意の謎の掛け声を合図に送迎バス

乗り場へと出発。いよいよ旅の再開だ。

初めての九州の旅、今回はどんな旅行になるのだろうか楽しみである。

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