第446話 神楽坂さんの怖い話~俺の信じてもらえない話 中編その2~
「はぁ~。」
「何かあったんですか?」
そんな日々が続いたある日、会社飲み会でため息をついている俺に声を掛けてくれたのは
宇佐美さんは同期の中でずば抜けて美人で、男性からの競争率が高い女性だ。
それだけなら女性からの妬みも多かったと思う。けど、宇佐美さんはそれだけじゃなかった。人懐っこい性格で、仕事も出来るし、困っている人には積極的に声を掛けに行くし、他の人の仕事も嫌な顔せずに手伝うなどなど。まさに完璧超人な女性だ。
妬みどころか、尊敬の念を集めている。そんな人が声を掛けてくれたのも相まって、俺はこんな変な話も躊躇なくしてしまった。
「そのさ、変な話なんだけどいいかな?」
「どうぞどうぞ。話を聞くのは自由ですから。」
「なんかさ、俺の今住んでる平家で変なことが起こり始めたんだよね。」
「ほうほう。」
「残業で帰った日なんだけど、なんか服がたたまれていてさ、でもおふくろも家には来てないって言うし。」
「彼女さんは?」
「いや彼女なんていないけど。」
「・・・そうなんですか。」
「んで、おふくろに相談したけど、実害が無いなら気にしないっていう方向で話は落ち着いたんだけど、ここ最近になって服だけじゃなくって料理まで用意されてるんだよね。」
「え?それって勝手に食材を使われてるってことですよね?それは嫌ですね~。」
「だろ?」
「だってその日の気分で食べたい物って変わりますもんね。」
「・・・ま、まぁそうだな、うん。」
「その料理って美味しいんですか?マズいのも嫌ですよね~。」
「いや食べてない。」
「え!?食べて無いんですか!?」
「いや食べないでしょ!!だって何が入ってるかわかんねぇじゃん!」
「でも、勿体なくないですか?せっかくお金を出して買った食材を使われてるんですよ。私だったら勿体ないから食べますけどね。」
「いやでも・・・。」
「試しに食べてみてくださいって!勿体ないですから!ね!」
結局、解決どころか食することになってしまった。
そんな話で飲み会は終わり、家に帰りました。
そしていつも通り、服はたたまれ、料理は作られていました。
「食べてみろっつてもなぁ。」
目の前の料理は見た目は美味しそうではある。けど、誰が作ったかもわからないし、何が入っているのかもわからない。
毒が入ってるかもしれない。
そんな考えが頭を過ぎり、俺は結局食べないで寝てしまった。
そして翌日、新たな違和感が俺の目を覚まさせた。
“何か嫌いなものがありましたか?”
そう書かれた紙が料理の横に置いてあったのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます