第436話 とある雪の日

『本日の天気は全国的に大雪が予想され、現在も吹雪いており・・・。』

天気予報。それは子供の僕にとって一日を決める大切な情報源だった。

特に台風や雪の日は飛び上がるほど嬉しかった。

小学校・中学校は台風や雪の日は基本的にお休み。つまり、僕が家に引きこもっても問題が無いということだ。それは大好きな心霊番組や読書(怖い話)を読んでいても誰にも迷惑にならないし、怒られないのだ。

台風、雪、バンザイ!!

「・・・って言うのが子供の時だけって。チクショウ・・・。」

はい、現在僕は吹雪の中高校に向かって一歩一歩懸命に歩いてます。

どうして歩いているのかと言えば、家に高校から連絡が無かったからだ。

そう、連絡が無い。それは高校は休みになっていないということだ。

「吹雪の日ぐらい休ませてくれよぉ・・・ううぅ。ざ、ざむい・・・。」

既に防寒具の機能は失われ、肌に突き刺さる痛みに慣れそうになった時にようやく僕は学校にたどり着いたのだ。

・・・少しだけ静かすぎる気もするが、気にせず教室に向かって重い足取りで歩く。

「ぉ、おはよう、ござい、ます・・・。」

寒さのせいで上手くしゃべれない。

そんな僕を無視するように元気な声で挨拶が返ってくる。

「おっす!高宮!お前もこちら側の人間だったか!」

「・・・高橋か。」

「おいおい元気ねぇじゃん?」

「そりゃな。こんな吹雪の日に来ればこうなるだろ。」

「はっはっは!そりゃそうか!」

「・・・ん?こちら側?それに何だか人気ひとけが・・・。」

「まぁ、今日は休みだし?クラスの奴らは来ねぇからな。」

「・・・え?」

高橋の指先。黒板にはデカデカと“休校”の二文字。

色んな意味で血の気が逃げていくと、高橋はケラケラと笑いながら状況説明をしてくれる。

「なんか昨日の放課後には今日が休校って決まってみたいだぜ。先生もクラスの奴らがかなり残っていたから連絡は任せたみたいだ。つまるところ、俺たちは連絡漏れだな。はっはっは!全くついてねぇーよな。」

今この瞬間、僕の心の殺意のせいで目の前の高橋を殴りそうだ。

「お、お前も連絡漏れって、クラスに友達が多いのに珍しいな。」

無意味な虚勢を張ってしまった。でも何だか馬鹿にされているようでちょっとだけお返しという気分だったので後悔はない。

「ん?まぁ俺って学校でスマホ見るタイプだし?だからついてねぇーって話だよ。」

ほぉ?それはつまり連絡自体は君の所には来たんだね?あれれぇ?おっかしいぞぉ?僕のスマホには何も連絡が来てないぞぉ?これはどういうことかな?かなかな?

「ま、俺は吹雪が弱まるまでここにいるつもりだ。お前もそうしろよ高宮。」

「それ以外に選択肢がほとんど無いんですけど?」

こうして今日一日は高橋と過ごさなければならなくなってしまった。

気分が沈む。

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