第404話 麒麟園さんの怖い話~リフォーム 中編~

「な、なんだこれは!?」

驚いた私はすぐに家主を呼び、確認してもらうことにしたんです。

「階段の下にこんな空間が・・・。」

家主も知らなかったようで、驚いた様子で中を覗いていました。

「どうしますかIさん?」

「そうですね・・・うん?」

その空間をよく見ると、床と思われる場所は下手くそに板が打ち付けられているだけだったのです。

リフォームには関係が無い場所。でも、建築業に就いている私にとっては手抜き工事は許せるものではありませんでした。

「申し訳ない。皆さんであの板だけ貼りなおしませんか?」

作業員の方々は戸惑いましたが、親方の一声で作業を了承してくれました。

でもすぐに怯えた声が上がりました。

「な、なんだこれ!?」

何と板を外すと下に降りる階段が現れたのです。

「あ、Iさん?どうするんですか、これ?」

事前に渡された見取り図には無い場所。家主と相談した結果、確認することになったのです。

私と家主さんは懐中電灯は片手に、真っ暗な地下に続くその階段を降りました。

カビ臭く、ジメジメした階段を10段以上降りたと思います。

階段の下は空間になっており、奥には木の格子できた空間が見えました。

「まるで牢屋だな。」

そう私がつぶやくと、家主はハッとなりました。

「思い出しました。確か祖母に聞いたんですが・・・。」

なんと昔、子供を躾けるためとして座敷牢があったとのことなのです。

幸い、ご遺体は無かったのでこのままこの地下室は閉鎖する形になったのです。

そしてその夜、私は家主さんの何回も鳴らされた電話で起きました。

「んぅ?は、はい!?な、何でしょうか!?」

「あ、明日!朝一で!こ、こっちに来てくれ!!?」

家主さんはパニックを起こしているようでした。

私は言われた通りに朝早くに家主さんの下に行きました。

「どうしたんですか?こんな朝早くなんて。」

「ろ、ろうば・・・。」

「え?」

「ろ、老婆の幽霊が出たんだよ!?」

家主さんを落ち着かせてから話を聞いてみると、昨日の晩に戸締りを確認した家主さんがホテルに戻ろうとすると、赤ん坊の『おぎゃあぁぁ!』という泣き声を耳にしたそうです。不思議に思った家主さんは、もう一度中に入って確認しようとすると、明かりがつかなくなっていたそうです。おかしいと感じた家主さんが懐中電灯で中を照らすと、階段の前にボロボロの服を着た老婆が口をモゴモゴとしながら立っていたそうです。『ひっ!?』と悲鳴を上げると、老婆は首だけを動かし、家主を見て、ニチャアっと聞こえてきそうな笑みで、『おぎゃあぁぁ!』と泣いたそうです。

「そ、それからは無我夢中で!?」

私は恐る恐る中を確認しましたが、そのような老婆はいませんでした。

でも、家主が嘘をついてるとも思えませんでした。

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