第403話 麒麟園さんの怖い話~リフォーム 前編~

夏の暑さもだんだんと薄れてきた今日この頃。

僕の目の前には未だに終わらない夏休みの課題を前に唸る美少女の姿が。

いやマジでこの人いつまでやってるの?

「アアアァァァァァァァァァ・・・・。」

「あの、近所迷惑何でそういう声は・・・。」

「だって終わらないのでありマス!こんなにも課題の量があるとは!おのれ学校め!!」

「いや単純に千夏さんのせいでしょ。」

「アアアァァァァァァァァァ・・・・。」

いやマジでやめろよ?いい加減に僕もキレるぜ?

「・・・じゃあ息抜きに・・・。」

「っ!!自分が話すでありマス!!!」

こいつ・・・まぁ、いいだろう。

「じゃあ今日は千夏さんで。てか、式子さんたちはどうしたんですか?」

「式子殿は今日発売の本を買いに。柑奈殿は部活でありマスね。」

「あ、そうですか。」

ナチュラルに神楽坂さんがハブかれたのはそっとしておこう。

「ではでは。こほんっ。え~これは、とある男性のお話し・・・。」


これは私が若い頃に体験した話です。

小さな頃から夢だった建築業に就くことが出来た私は、毎日が楽しく、仕事が充実していました。と、言っても最初の頃は手伝いばかりでしたが。

そんなことを半年ほど続けていた時でした。

「I、お前もそろそろ現場監督の練習を始めて見るか?」

「え!?いいんですか!!」

「ああ。お前は熱意のある奴だ。今回依頼が来ているリフォーム案件、俺が責任取るからやってみないか?」

初めての自分主体の現場に、俺は即座に頷きました。

それからすぐに教育係の先輩と一緒にリフォーム依頼が来ている一軒家に向かいました。

町から少し離れている庭付きの大きな一軒家でした。

「す、すごいですね!」

「ああ。あの方が家主さんだよ。」

中年のぽっちゃりした男性がニコニコと手を振ってくれました。

「いや~今回もお願いしちゃって申し訳ないですね~。」

「え?」

「10年くらい前になるか。俺が初めて担当したのもここなんだよ。だからお前に任せてみようってな。」

「先輩・・・ハイ!俺頑張ります!」

その後先輩はリフォームを手伝ってくれる作業員の方に行き、私は家主と家の中を見て回ったのです。

依頼のあった台所、和室、風呂にトイレと色々見ていき、二階を見て回って一階に降りようとした時です。

私の視界の端を何か動くものが通り過ぎていったような気がしたんです。

「ん?」

「どうかしましたか?」

「・・・いえ、気のせいでしょう。では、ご依頼の内容の細かな確認を・・・。」

この時の私はテンションが高かったこともあり、些細なことは気にしなかったんです。

そうして作業が始まってすぐのことでした。

「Iさ~ん!」

作業員に呼ばれてついて行くと、二階に昇る階段の横に作業員たちが集まっていました。

「どうしたんですか?」そう聞くと。

「いや~なんか掘り当てちゃったみたいでして・・・。」

階段の下はなんと空間になっており、そこには無数のお札が貼られていたんです。

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