第383話 食休みの話し~おおきなかお 前編~

バーベキューを楽しんだ後、僕たちは食休みを取ることにした。

千夏さんが車を出してくれるように頼みに行ってる間、僕たちは談笑することにしたんです。

もちろん、ただの談笑じゃないのは言うまでもない。

「最近、英語がついて行けないのよね~。今回の課題だって。」

「英語は自分で色々文章を作ってみると、わかりやすくなるぞ柑奈。ただ文法を頭に叩きこもうとしてもダメさ。」

お二人の会話について行けるようでついて行けないなぁ。

「優はどうなの?英語得意?」

「僕は普通ですね。可もなく不可もなく。僕は地理が一番苦手ですから。」

「ほぉ。では今度私が地理を教えてあげようか?」

「あ!いいですね。是非、お願いします。」

「す、優!あたしが数学は教えてあげるわ!」

「・・・?はい、お願いします柑奈さん。」

「・・・チッ。」

「油断ならないわね式子は。」

よくわからないが、勉強を教えてもらえるらしい。

「ところで、お二人に聞きたいんですが自分が用意したお題で話せなかったお話は無いんですか?あれば聞きたいんですけど・・・。」

「ふふっ。」

「ほんと、優も好きよねぇ。ま、いいわ。千夏が戻ってくるまでまだ時間もあるし、あたしからでいいわよね?」

「ああ。先行は譲ろう。」

「じゃあ短いのを話すわ。これは、ある姉妹の話しよ・・・。」


両親は共働きで、小さい頃はよく近所のおばちゃんの家に預けられていました。

「はぁい。二人共、ゼリーですよ~。」

小学校から帰ってきて、手洗いをして、おばちゃんの出すおやつを食べる。

その後で、小さい妹の遊びに付き合っていました。

「Aちゃん、今日は何するの?」

「うんとね、つみき!」

「よ~し!一緒にお城作ろう!」

縁側で積み木をして遊ぶ。

特に変わった事の無い遊びです。

けど、あの日は少し違ったんです。

「まずは土台を作ろうね。」

「・・・。」

「Aちゃん?」

いつもはしゃいで遊ぶAちゃんが無言のまま窓の外を見ていたんです。

猫でもいるのかな?そう思って私も外を見たんですが、猫どころか生き物はいませんでした。

何の変哲もない、いつも通りの景色。

「Aちゃん、つみきで遊ばないの?」

「あそぶ!」

私が肩をゆすって声を掛けると、いつも通りの元気な妹。

私は妹が積み木に夢中になってる隙を見て、外に出て周りを確認しました。

「・・・特に何もないよね?ん~・・・ボーっとしてただけかな?」

そう結論付けて家の中に戻ると、またしてもAちゃんは窓の外を見て固まっていたんです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る