第277話 高宮君の怖い話~死を誘う女中編その1~
夜になると、後輩は不動産からいくつかの物件を手に入れてきました。
『実物を見て決めてください。』と、言われ、結局俺が物件を見たのは二日後でした。
「どうです?ここ。都会の中の一軒家!なんちゃって。」
「いや、ここはねぇだろ。立地が悪すぎる。それに・・・。」
「それに?」
「見た目が嫌い。」
「じゃあ次で。」
「ここはどうですか?都会の中の住宅街!その中央!」
「却下。」
「え~。」
「お前はここに住みたいと思うのか?」
「思いませんが?」
「・・・もう何も言わねぇ。」
「次行きましょ!次!」
「次は・・・あ~その。」
「うん。わかるよ。どう見たってお前これ・・・。」
「実はかなりのお買い得物件・・・ですけど・・・。」
「火災のあった後のある家になんか住めるか!!」
「ですよね!次行きましょ。」
色んな物件を見て回りましたが、どれもネタを狙ったような家ばかりで、正直どれも気に入りませんでした。
「ん~これで最後だな~。」
「最後ぐらいまともなんだろ?」
「ま~一応。というか、これが最初に見つけた物件なんですよね~。」
「そうかよ。・・・で?何処に向かってんのこの電車。」
「都会から少し離れた住宅街の外れの家なんですよ。見た感じは結構いい作りですよ。」
「本当かよ・・・。」
ここまでの交配を見ると、信用に欠けたのですが、最後は本当にいい物件だったのです。
「こちらです。言った通り都会からは少し離れています。ま、電車で二駅ほどですが、結構静かですし、立地も悪くないと思いますよ。」
交配が紹介した物件は三階建てで、屋上付き。
おまけに階層ごとに狭いことは無く、十分に広い。
「こんな良物件・・・高いだろ?」
「それがそうでもないんですよ。ほら、見てください。」
「マジか・・・。」
かなりのお買い得物件。
庭の狭さと駐車場が無いことに目を瞑ればかなり良い。
「何でこんなに安いんだ?まさかいわくつき・・・。」
「いえ、そんなことは無いですよ。単に駐車場が無いことがかなりの痛手らしいです。ここら辺の人って結構車所有者が多いですから。・・・どうします?」
「買う。」
「え?即決?」
「ああ。」
何ででしょうか。
この家を見た瞬間から妙に惹きつけられるというか、魅力をとても感じるというか。
とにかく何が何でも欲しいと思ってしまったのです。
内装も見ずに気がつけば俺はもう既に購入することを考えていました。
その後、内装見ても俺の考えは変わらず、週末には即座に引っ越しをし始めていたんです。
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