第267話 短編怖い話~自慢しようとして・・・。後編~

それは帰りの電車に乗っている時でした。

外の景色をずっと見ていると、古びた建物が見つかったんです。

慌てて私は二人の手を引き、近くの駅に降りてその建物に向かいました。

そこは、今は使われていないと思われる程に古いアパートでした。

「こんなところにこんなのあったんだ・・・。」

「知らなかったね~。」

「ね、B子。ここを探検してみんなに話そうよ。」

「え?」

「B子のお母さんが教えてくれたところはダメだったけど、ここだって十分に怖いと思わない?」

「A・・・惚れそう。」

「それはやめて。」

「ふふふ~。Aちゃんは本当にB子ちゃんのことが好きだね~。」

「え?それ本当!?」

「Cもマジでやめて。私は友達想いなの。特に、B子は小学校からの親友だし・・・。」

「照れてるA、マジで可愛すぎ。」

「それな~。」

「いい加減にやめろ。それよりも探検するの?しないの?どっち?」

「しますします!」

「うちも~。」

「じゃあ・・・行こう。」

カッコつけた手前、私が先頭で歩き出さなければいけない気がしたんです。

けど、なんか嫌な感じがして、正直探検したくありませんでした。

「一階は何も無かったね。」

「うん~。」

「でもさ、端っこの部屋の上ら辺焦げてなかった?」

「確かに~。この上の階で火事でもあったのかな~。」

「ますますらしいじゃん!」

元気になっているB子に、ここまでにしようと言えず、私は一番嫌な感じのする二階の奥の部屋に向かったのです。

その部屋は玄関から不気味でした。

他の壁は古びているだけなのに、その玄関の周りは黒く焦げ、玄関そのものは真っ黒でした。

それになんだか寒気もして・・・。

帰ろうと言おうと思った時です。

B子がドアノブに手をかけて開けたんです。

そして、開けた玄関の内側位には真っ黒な無数の手形があったんです。

「ヤバい!?」

叫ぶよりも早く二人の手を強く引き、逃げるようにそのアパートから逃げました。

「ちょ、ちょっと何よ?」

「Aちゃん~?」

二人はあの手形を見なかったようで、私の青ざめた顔の意味が分からなかったそうです。

「て、手形が、手形があった・・・。」

「うそ!?」

「本当なの~?」

「ちょっと私見たいんだけど!」

「や、やめたほうが・・・。」

私の制止を気にせず、戻って行く二人の後をついて行くと、あのアパートのあの部屋が揺れていたんです。

「なにあれ?」

B子のその言葉までしか覚えていません。

気がついたら私たちは全速力で逃げていました。

次の日の学校でも何も話しませんでした。

あれは、何だったのでしょうか。


「ふむ。アパートの一室が揺れるか。これは一種のポルターガイストなのか?」

この疑問に答えてくれるのは・・・やっぱり式子さんだろう。

よし!明日聞いてみよう!

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