第268話 短編怖い話~いわくつきの旅館前編~
「続いての話しが最後です。」
あ~終わりか。
まだ他のホラー番組があるとはいえ、一つのホラー番組が終わってしまうのは、やはり寂しい。
最後まで楽しもう。
「これはとある女性が、仕事で体験してしまった不幸なお話しです・・・。」
おっと!始まる前に麦茶の準備だ!
これは私がバスガイドという仕事に慣れてきた時の話しです。
その日の仕事はお年寄りを対象にしたツアーだったのですが、予想外に人が集まり、当初予定していたホテルに私とドライバーさんだけが止まることが出来なかったんです。
「本当に申し訳ありません。」
授業員さんが悪いわけでもなく、私とドライバーさんは近くの旅館を紹介されたんです。
けれど、その旅館は地元では有名ないわくつきの旅館だったらしく、何も知らない私とドライバーさんは止まってしまいました。
でも、仕方がないと思います。
紹介してくれた従業員がいわくつき旅館を紹介するとも思わないし、何より紹介された旅館は超大型旅館で、私たち以外にも多くの人が止まっているし、何よりドライバーさんは女性だったので一人じゃない、そのことが私を油断させていたんです。
先輩のバスガイドさんが一緒ではなかったのが心細かったですが、部屋も綺麗だったので、本当に私は羽を伸ばしていました。
「こちら、当館自慢の海鮮料理となっています。」
「うわ~!お刺身美味しそう!!」
「はい。料理人たちが朝一で仕入れてきています。夜でもとても新鮮ですよ。」
「じゃあ、いただきましょうか。」
「はい!」
テーブルの上に広がる料理は、とても豪華で、私は得した気分になったんです。
年上のドライバーさんよりもたくさん食べちゃったんですよね。
「うふふ。Eさんはバスガイド、長いの?」
「いえ!自分なんてまだまだですよ。先輩にも毎回アナウンス原稿を見てもらってるし。」
「そう?今日の仕事っぷりは、とても素敵だったわよ~。まるでベテランさん見たいって。」
「え?えへへ~本当ですか?そう見えたんなら嬉しいなぁ。」
「おばちゃんね、若い子と仕事するの初めてだから張りきっちゃった。」
「またまた~。Aさんはドライバーのお仕事長いんですか?」
「そうねぇ。元々はタクシードライバーだったのよ。」
「え!?そうなんですか!?」
「ええ。けど、タクシードライバーって意外と嫌なお客に当たりやすいのよ~。私が20代の頃なんて、私の性癖を聞いてくる嫌な客に当たったこともあってね~。」
「うっわ。男って最低ですね。」
「うふふ。その人、女性だったの。」
「何で!?」
Aさんとの話はとても盛り上がって、気がついたら時間があっという間に過ぎていたんです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます