第254話 神楽坂さんの怖い話~何が落ちた?中編その2~
そんな徐々に変なことが分かってきた頃、私は思い切ってCちゃんに相談しました。
「・・・ねぇ、Cちゃん。」
「なに?」
「変なこと聞いてもいい?」
「・・・スリーサイズ以外なら。」
「それもとても魅力的な質問だけど、本当に変な質問。毎晩さ、音が聞こえない?」
「音?ですか。」
「そう。コツコツって何かを、こう叩くような?そんな感じの音。」
「コツコツ・・・私は聞いてないです。」
「そっか。」
Cちゃんには全く聞こえていなかった。
私だけが聞こえてる、そう思うと益々気になってしまったのです。
「夜が・・・来た。」
私は、今まで怖くて見ないようにしていたある場所を見ることにしました。
その日の晩、いつものようにあの音が聞こえてきました。
コツコツ。
「今だ!!」
私は急いで窓の方へ行き、その窓を豪快に開けました。
「・・・何もいない?」
下を見ても何もなく、私の徒労で終わると思いました。
「やっぱ気のせい・・・かな・・・!」
すると突然、上から何かが落ちてくる影が見えたんです。
「え!?うそ!?まさか!?」
もしかして屋上からの飛び降りかもしれない。
そう思ったら、急いで松葉づえをつきながら当直の看護師さんが居る所へ向かっていました。
今晩の当直は婦長さんで、私は今起こった事を説明しました。
「あの!」
「あら?Iさん・・・だったかしら?こんな時間にどうしたの?」
「音が!?窓が!?人で!?落ちて!?」
私の支離滅裂な話に婦長さんは、怪訝な表情をしていましたが、ハッと何かに気づくと、婦長さんの顔は面白いように青ざめていきました。
「だ、だから!?」
「ゆ、夢でも見たんでしょう!体に障るので早く病室に戻りなさい!」
そう言って、半ば無理やり話しを切り上げられました。
腑に落ちなかった私は、意を決して窓の下を覗きました。
「・・・あ、あれ?」
けど、そこには想像していたものは無く、私も見間違いかと思いました。
次の日のお昼、少し緊張した様子のCちゃんが私に珍しく話しかけてきたのです。
「あのIさん。」
「ん?なに?」
「あ、いや、その・・・。そ、そう!音!あれから音は聞こえるの?」
「うん。でも、たぶん何でもないと思う。」
「そ、そう?」
でも、そんな私の安堵を裏切るように、次の日の夜も、そのまた次の日の夜も、同じような影が落ちる所が窓の外に見えるのです。
「やっぱり見間違いじゃない。音も聞こえてる。でも・・・何もなかったはず。じゃあ何?」
これはもしかして幽霊なのでは?そう思いだすと、怖くて体が震えました。
怯えて夜を過ごしていると、私に決定的な事が起こってしまったのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます