第252話 神楽坂さんの怖い話~何が落ちた?前編~

今日も今日とて暑い日。

部活に励む学生諸君は汗水たらしてかんばってらっしゃる。

そんな光景を見ながら僕は涼しいオカルト研究会の部室で式子さんと談笑する。

この穏やかな空間を切り裂くように現れたのは・・・久しぶりの神楽坂さんだった。

「やぁ!式子に子犬ちゃん!元気だったかい?」

「神楽坂さん。こんにちわ。」

「やぁ星夜。たった今、元気を奪われたところだ。」

おや?式子さんが不機嫌?

「それは都合がいい!実はとても、実に素晴らしい、怖い話を仕入れてね。どうだい?聞いてみないかい?」

「ほぉ。」

あ、眼つきが変わった。

「子犬ちゃんもいかがかな?」

「はい、是非。」

「んふふ。では、語ろう。」

カッコつけるように椅子に座った神楽坂さんはゆっくりと語りだす。

「これは・・・丁度こんな暑い夏の日だった・・・。」


「はぁ。入院か~。」

16歳の夏休み。

私ことIは、部活に勉強に恋に忙しい花の16歳という人生の絶頂期とも呼べる時期に私は、交通事故に遭った。

原因は相手側の居眠り運転。

こちらも警戒していなかったとはいえ、運が無さすぎる。

軽い擦り傷で済む場合もあるそうですが、私は右足を骨折し、しかもかなりの複雑骨折の為、数か月入院する事になってしまった。

本当に最悪。

唯一運が良かったのは病室の環境だ。

病室なんてお婆ちゃんだらけだと思っていたけど、私が入院した病室は4人部屋で、そこには同じ年頃の女の子が3人入院していたのです。

正直に言えば、最初はお婆ちゃんだらけの部屋に入院するぐらいなら1人部屋のほうが良いなぁってガッカリしていたけど、年も近くて、みんな穏やかな性格で、話しも弾む。

予想外の楽しい入院生活で私は満喫していました。

「ねぇ、Aちゃん。この前来ていた人って彼氏?」

「ち、違うよ!?」

「何の話しですかBさん!詳しく!」

「いや~Iさんがこの部屋に来る前に、かなりのイケメンがAさんのお見舞いに来たんだよ~。ね、Cちゃん。」

「う、うん。とてもカッコいい人だったよ。」

「ふ、二人ともやめて。あ、あれはお兄ちゃんだから・・・。」

「うっそ!?お兄さん!?てことは美男美女兄妹!?」

「美!?や、やめてよ~。私は美人じゃ・・・。」

「今、世の中のブスを敵に回した音がした。」

「Bさん、私もです。」

「ふ。二人とも!その顔やめて~!」

本当に楽しい入院生活。

Aさんは美人だし、Bさんも元気いっぱいでスタイル良し、Cちゃんは年下ということもあってちょっとばかりおどおどしてるけど可愛いし、実に素晴らしいハーレム部屋でした。

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