第235話 創兄さんの怖い話~不可解な音。前編~

「春休みのことなんだけどな。覚えてるか?あいつらを。」

「もちろんだよ。」

創兄さんの言うあいつらとは、出島でじまさんと久利くりさんのことである。

創兄さんの友人で、高校で知り合ったとは思えないぐらい仲が良いのである。

僕も何度か遊んでもらったなぁ。

「大学はあいつらとバラバラだかんな。高校卒業旅行という名目の日帰りの遊びに行ったんだよ。」

「へぇ~。」

そっか。創兄さんたち別々の大学に行ったんだ。

「ま、そうは言うが今年の夏休みも遊ぶ予定はあるけどな。何処まで行っても俺たちは結局遊ぶんだよなぁ。」

「それだけ仲いいってことだよ。羨ましいなぁ。」

「優もそういう友人を作ればいいんだよ。」

「が、頑張るよ!」

「無理しない程度にな。んで、その時に見つけた廃家についての話なんだけどな・・・。」

おっと!これは怖い話の予感・・・。


卒業式当日だったかな。

一通り式が終わって皆が笑っていたり、泣いていた時なんだけどな。

俺はそういう所にいたら絶対に泣くから体育館裏で寝てたんだよ。

「やっぱここか創。」

「何だよ出島。」

「いやなに、ちょっとばかし提案があってな。な、みつる。」

「・・・うん。」

「久利もってぇのは珍しいな。んで?どんな提案だよ?」

「俺たちさ大学はバラバラだろ?俺は地元だけどお前らは出て行く組だし。そんで、思い出作りの一環としてよぉ。卒業旅行なんてどうよ?」

「どうよって言われてもなぁ。金はなるべく使いたくねぇし。」

「それは心配ない。出島さんが免許持ってるから。」

「マジかよ!?」

「へへっ。俺は推薦で終わったかんな。暇があった訳よ。」

「旅行といっても日帰り。だから遊ぶお金さえあれば十分。」

「と、いう訳よ。どうよ創?」

「まぁそんぐらいなら・・・いいか。」

「よーし!決まりだな!んじゃ明日にでも行こうぜ!」

「明日かよ!?」

「善は急げの思い立ったが吉日だろ?明日で決定な!光もいいだろ?」

「僕は大丈夫。」

「な!創。」

「わーったよ。」

そんなやり取りの末に、俺たちは卒業式の次の日に遊びに行ったんだ。

計画のない行き当たりばったりの旅行だったけど、結構楽しかったんだ。

「いや~やっぱ祭りといえばたこ焼きだよなぁ。」

「丁度お祭りやっていてよかったよね。」

「俺たちは運がいいってことか。」

「日頃の俺の行いの勝利ってな!」

「調子のいい奴め。」

「ふふ。でも、それが出島さんの良いところだよ。」

「おいおい光照れるじゃねぇか。お前が女だったらお持ち帰りしてたぞ。」

「それは残念だったね。僕はこう見えて立派な男だから。彼女もいるし。」

「ちっっっきしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

そんな風に和気あいあいと昼ご飯を食っていた時だよ。

あの爺さんにあったのは。

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