第232話 式子さんの怖い話~贈られたものは・・・。中編その2~

「はぁ。」

結局僕は博物館に飾る勇気がなく、クマのぬいぐるみを持って帰ることにしました。

「こういう時、一人暮らしでよかったなぁ。」

幸いなことに僕は未だに独身で、クマのぬいぐるみを持って帰っても誰の迷惑にもなりませんでした。

「ここでよしっと。」

クマのぬいぐるみは目に入る位置に置き、僕は風呂に入ることにしました。

「う~ん・・・Cさんの想いを聞いてあげたいけど、流石にあのぬいぐるみを飾るのはなぁ。なんか不気味だし、せめてレア物だったら良かったんだけど・・・。」

独り言をぼやきながら風呂を出ると、クマのぬいぐるみがありませんでした。

「あ、あれ?」

辺りを見回すと、床に転がっていたのです。

「落ちたのかな?う~ん・・・。」

僕は元の位置にクマのぬいぐるみを戻すと、軽い食事の後に就寝しました。


翌朝、起きるとクマのぬいぐるみが僕の布団の上に置かれていました。

「あ、あれ?何で?」

驚きましたが、きっと寝ぼけてだろうと思い、また元の位置に戻して博物館に向かいました。

「おはよう。」

「おっはようございます!もう掃除は終わってますよ!」

「ありがとうAさん・・・あれ?あの箱は?」

「あ~Bさんが気味悪いからって倉庫に片付けに行きましたよ。」

「そうかい。」

なんとなく気になった僕は倉庫を見に行きました。

「び、Bさん?」

すると、Bさんが後ろを向いたまま立って止まっていたのです。

「何しているんだい?・・・Bさん?」

「・・・。」

「Bさん!?」

振り向かせると、Bさんはあのクマのぬいぐるみを持ってニタァっと笑っていたのです。

「Bさん!Bさん!!」

揺すっても返事がなかったため、クマのぬいぐるみを取り上げました。

するとBさんはすぐに正気に戻ったのです。

「あれ?私は何を?」

「な、何でもないよBさん!そ、それよりも大丈夫?怪我とかしていない?」

「はい。特に問題は・・・あれ?」

「ど、どうしたの!?」

「箱が・・・。」

「え?」

Bさんが片付けたはずのあの箱が無くなっていたそうです。

その後、何となくBさんに話を聴くと、箱を片付けたところまでしか覚えておらず、なんでクマのぬいぐるみを持っていたのかわからないそうだ。

そもそも何でこのクマのぬいぐるみがあるのだろうか。

あのクマのぬいぐるみは家に置いてきたはずなのに・・・。


「やっぱりだ。」

お昼に家に帰ると、家に置いておいたはずのクマのぬいぐるみは無くなっていた。

「いったい何なんだ?このクマのぬいぐるみは?」

余りの現実味のない出来事の連続に、僕は早々にお寺に相談しに行った。

本当はあの箱も持ってきたかったが、見つからない以上諦めるしかない。

とにかく、このクマのぬいぐるみだけでも住職に見せることにしたのです。

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