第224話 高宮君の怖い話~鏡の向こう側中編その2~

「ハイ。それでは皆さん、テントを立ててください。」

臨海学校が始まり、俺たちは早速テントを立てた。

説明書を読みながら立てていると、隣のクラスの男子が声を掛けてきたんだ。


「なぁ。」

俺「なんだよ。」

「あっちの方に建物見えるじゃん。」

俺「あ~あれか?」

「その隣にもあるだろ。」

俺「あ~あるな。」

「片方はさ、物置小屋なのにもう片方は鏡だけあるんだけど、なんで?」

俺「いや知らんがな。」


隣のクラスの奴の言う通り、先生たちが泊まるバンガローの近くにそんなに大きくない建物が二つ並んでいて、なぜか片方には大きな姿見の鏡だけあったんだ。

隣の建物にはぎゅうぎゅうに物が詰められているのにだ。

変だなぁってぐらいにしか思わなかったんだけど、ここでBが変なことを言ったんだ。


B「なるほどわかった!」

俺「何が?」

B「あそこの鏡だけの建物はきっと鏡の向こう側の世界に行くための入り口なんだよ。」

俺「お前まだその話してんのかよ。」

B「いや~照れますねぇ。」

俺「何でだよ!」

C「でも確かにそんな気もするよね。」

俺「マジぃ?」

B「ふっ。ここにまた一つ俺が事件解決の立役者に・・・。」

俺「ねぇよ!」

C「アハハハハ!」

A「・・・。」

D「ん?どうしたのA?」

A「・・・。」

D「A?」

A「え?い、いや何でも無い。」

D「変なの。」


この時気づいてやるべきだったんだ。

Aの様子がおかしいのを。


臨海学校の1日目。

テントを立てた後、職員から自生する植物のことや動物のことを聞いてその日は終わった。

用意された夜ご飯を食べ、施設の入浴場に行き、さぁ寝るぞって流れになった。

テントの中で俺たち5人は寄り添って眠っていたんだけど、夜中に俺は肌寒さを感じたんだ。


俺「ううぅ。何だ?」


夜中に目を覚ますと、隣で寝ていたAがいなかった。

最初はトイレにでも行ったんだろって思って寝なおしたんだけど、少し経ったらCに起こされた。


C「ねぇ、起きてよ俺君。」

俺「ん?何だよ?」

C「Aがいないんだけど、何か知らない?」

俺「え?」


ふと、時計を見ると、俺が二度寝して二時間は経っていた。

流石に変だと思った俺はCと一緒にトイレに様子を見に行ったんだけど、トイレにはAの姿はなかった。


俺「いねぇな。」

C「だね。ここ以外にトイレってあったけ?」

俺「入浴場にあったけど、ここより距離あるトイレにわざわざ行くか?」

C「そうだよね。普通はここだよね。人もいないからすぐに済むし。」

俺「ま、一応見に行ってみようぜ。」


けれど予想通り、入浴場の方のトイレにもAはいませんでした。

もしかしたらテントに戻って来てるかもと思い、一度戻りましたがテントの中にもやはりいませんでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る