第202話 麒麟園さんの怖い話~見ているもの後編~

それは簡単に起きた。

(きた!この感覚だ!それに・・・。)

「ハァハァハァ・・・。」

(息遣いも聞こえる!やっぱり私がこのベットで寝ることが条件なんだ。Bちゃんは無事かな?ちゃんと録画も・・・ん?)

ここに来て新たな出来事が起きた。

それは私の左手だけが動くということだった。

(何で?何で急に動くの?けど、これなら・・・。)

私はゆっくりと左手を動かし、Bに気づいてもらおうとしましたが何の反応もありません。

(あれ?Bちゃん?)

反応が無いのならと、机に手を伸ばして携帯を取ろうとしたのですが。

(・・・机が、無い?)

私の手は机に触れず、空を切るだけ。

必死に動かしましたが、机に手が当たりません。

(だったら・・・)

私は左手で無理矢理瞼を開いたのです。

(・・・え?)

そこは私の部屋ではありませんでした。

真っ暗で、何もない部屋。

周りにはあったはずの家具はなく、それどこら壁が見当たらず、どこまでも暗闇が広がっていました。

何よりも・・・。

「ハァハァハァ・・・。」

天上に青白く光る何かがいるのです。

その何かは人の形をしているのですが絶対に人じゃないって思えるものでした。

「ハァハァハァ・・・。」

声を出すこともできず、ただ見ることしかできませんでした。

「ハァハァハァ・・・。やっぱり、君がいい。」

ハッキリと聞こえたその言葉を最後に私は気を失いました。

翌日目覚めた私をBが泣きながら抱きしめてきました。

「ううぅ・・・うぇ・・・んぐっ。」

「何が・・・あったの?」

「え、Aちゃんが・・・ひぐっ・・・Aちゃんが青く光って・・・ただ笑ってたの。」

録画は出来ていませんでした。

けれど、Bが嘘つくとも思えません。

「・・・ごめんね。」

「ううぅ!Aちゃん!!」

私はすぐさまこのことを両親に話し、ベットを処分してもらいました。

一応お祓いも受け、今ではその出来事に遭っていません。

あれが何で私を選んだのか。そもそも何なのか。あのままだったら私はどうなっていたのか。

わかりませんが、もう二度と体験したくはありません。


「以上でありマス!」

おおう。シンプルに怖いな。

「どうでありマシたか優二等兵!」

「とても怖かったですよ。」

「ヌへへ。気に入ったでありマスか?」

「そうですね。シンプルな怖さもいいですよね。」

「うんうん!そうでありマスね。」

「ち、千夏にしてはやるじゃない!」

柑奈さん足が震えて・・・。

「流石は千夏だ。良い話を持ってくる。」

「お褒め頂き光栄でありマス!」

「これは、私も気合入れて話そうではないか。」

式子さんのあの目、本気だ。

ゾクゾクしてきた!


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