第198話 麒麟園さんの怖い話~見ているもの前編~
「では次こそ私が話を・・・。」
おお!式子さんの怖い話・・・。
「待ってほしいでありマス!式子総司令!」
を、食い止める麒麟園さん!?
「む?何だ千夏。」
「次は自分に話させてほしいでありマス。」
「いやしかし優君が・・・。」
「優二等兵は自分(の話)も好きだと言ったでありマス。なら、自分にも話させてほしいでありマス。」
「千夏、何度も言うが優君は・・・。」
「それに!式子総司令は最後の方が盛り上がると思うでありマス!」
そんな言葉で式子さんが納得するわけ・・・。
「・・・なるほど。」
しますんです!はい!
「なら千夏に譲ろう。」
「感謝でありマス!では早速・・・。」
麒麟園さんの雰囲気が変わった?
「これは、一人の少女に起こった出来事でありマス・・・。」
小さな頃から私には不思議なことが起きている。
それは夜になると目を覚まし、誰かに見られているという感覚があることだ。
始まりは小学校三年生だった。
「今日からここがAちゃんのお部屋よ。」
「わーい!ありがとママ!」
「うふふ。お礼はパパにもね。パパがこのお部屋をお掃除してくれたんだから。」
長年物置きとして使っていた部屋。
部屋を欲しがっていた私に父と母は譲ってくれたのだ。
自分の部屋を持つというのは子供ながらに興奮することで、その日の夜は眠れなかった。
「今はまだ机と布団だけだけど、必ずベットは欲しいなぁ。あ!あと本棚も!」
布団で寝ていたころは何かを感じることはありませんでした。
それからすぐに家具量販店に足を運び、ベット選んだのです。
「こちらのベットは寝心地が良く・・・。」
正直、大人の会話は余り頭に入ってこなかった。
色んなベットを見て歩き、そして私はあのベットに出会ったのです。
「・・・これ・・・。」
「お!お目が高いねお嬢ちゃん。そちらは今日入ったばかりのベットだよ。通気性もいいし、何よりマットレスが柔らかくてね・・・。」
「これにする!」
「Aはこれがいいのかい?」
「うん!これがいい!」
「パパ。Aが決めたのならいいわよね?」
「いいんじゃないか?正直パパには違いが判らん。」
「もう!パパ頼りないわよ!」
「頼りな~い。」
「面目ない・・・。」
父も母も私が決めたことに反対しなかったのでそのベットですぐに決まった。
ベットはその日のうちに家に届けられ、すぐに私の部屋に姿を見せたのです。
「わ~い。私のベット!」
「では自分らはこれで。」
「ありがとうございました。」
「何かありましたら会社の方に連絡を。」
このベットが問題になるなど、この時には思わなかったのです。
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