第180話 柑奈パパの怖い話~だるまさんがころんだ中編その2~

それから何回か遊んでいくうちにあることに希望ちゃんは気づいた。

それは学校ではその子はいなくて、家の庭で遊ぶ時だけ姿を見せるのがよ。

「またいる・・・。」

その日もいつも通りに遊んでいたんだ。

「ふぅ。だーるーまさーんがころんだ!・・・え?」

けれどその日はいつもと違った。

その知らない子は決して他の三人の前に出ることは無かったんだが、今日は物凄い速さで希望ちゃんに近づいていたんだ。

目の前にいるのにまったく気づいた様子のねぇ他の三人を見た希望ちゃんの僅かな希望が消えたのよ。

「やっぱりみんなには見えてない。・・・だーるーまさーんがころんだ!っ。」

異常な速さで近づいてくるその子に希望ちゃんは言い知れぬ恐怖を覚えたんだよ。

「だ、だーるーまさーんがころんだ!っ!?」

気がつくと、他のみんなは全く動いておらず、その子だけがどんどん近づいてくる。

「だ、だーるーまさーんがころんだ!きゃっ!?」

振り返ると、その子は目の前まで来ていた。

なのに、全く顔が見えないらしいんだよ。

「だーるーまさーんがころんだ!?」

さっきまで見えなかった顔は真っ赤な口だけが見えたのよ。

ニタァって笑っている真っ赤な口がな。

「だ、だーるーまさー・・・!?」

『鬼さんみ~つけた。』

子供でも分かるぐらいの冷たい声に驚いた希望ちゃんが振り返ると、その子はいなかったらしい。

「希望ちゃんズルしないでよ!」

案の定、その子を希望ちゃん以外は見ていなかった。


「っつうのが希望ちゃんの体験した怖い出来事よ。」

なるほど。でもそれって・・・。

「希望ちゃん以外、見てないんですよね?」

「だな。」

「じゃあ僕らが同じようにだるまさんがころんだで遊んでもその子は出てこないんじゃないんですか?他の子に見えなかったように。」

「・・・。」

「・・・あの。」

「し、し、知ってたしー!」

この親父、駄目かもしれない。

「ま、まぁとにかくやってみることだろ?な!」

仕方がないから話に乗っておくか。


最初は僕が鬼、その後は柑奈さんのお父さんが鬼で二回程だるまさんがころんだを行ったが・・・。

「何も無いですね。」

「ん~だな。嫌な感じもしねぇし、こりゃあ・・・ただ遊びたかっただけかもしれねぇな。」

「遊びたかったってことは子供はいることにはいるんですか?」

「いいんや知らね。」

おい!親父!

「単純にわしは希望ちゃんを信じてるだけだかんな。」

良い事言ってるんだけど、ドヤ顔がムカつくんだよなぁ。

「・・・それによぉ、たぶんここにいる子供の霊は自分が亡くなっていることを知らねぇんだと思うんだよ。」

亡くなっていることを知らない?

どういうことだ?



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