第178話 柑奈パパの怖い話~だるまさんがころんだ前編~
「わざわざ
土曜日のある朝、僕は柑奈さんのお父さんに呼ばれてお寺に来ました。
学生にとって休日はとても重要な日ですが、悲しいことに僕にとっては暇な日なのです。
「別に構いませんよ。それよりもどうしてこのお寺に?それもわざわざ僕を連れて。」
「ああ。それなんだがよぉ・・・。」
「来てくれたか。」
「おお!
この人が和尚さんかな?
「元気だよ。それよりも柑奈ちゃんは?姿が見えないが・・・。」
「今日は柑奈は来ねぇのよ。なんでも部活が忙しいんだとよ。」
「そ、そうか・・・。」
あからさまにガッカリしてるなぁ。
「けど安心しろよ義徳。今回はこの坊主に来てもらったからよ!」
「は、初めまして。高宮優です。」
「あ~大丈夫なのか?この坊主で。」
それはどういう意味ですかな?
「大丈夫だって!見ろよこのザ・無害フェイスをよ。」
誰が無害フェイスじゃい!
「ん~ならいいんだが・・・まぁいいか。」
二人だけで何の話をしてんだよ。
「とりあえず上がってくれ。」
「おうよ。坊主、行くぞ。」
「え?あ、はい。」
「粗茶でございます。」
綺麗な人だなぁ。
「おお!
「部屋にいるよ。最近ずっと籠りっぱなしだ。」
「そうとうショックだったみてぇだな。」
「ああ。昔は休みの日になると庭中駆け回っていたのに・・・のぞみぃぃぃ。」
「昔ってよぉ。希望ちゃん、まだ8歳じゃなかったか?」
「そんなことはどうでもいいんだよ!のぞみぃぃぃ。」
いい加減に話を聞かせろ下さい。
「ま、わしが来たからには安心しろよ。」
「頼むぞ本気で!」
「おうよ。」
「あの、ここへは何しに来たんですか?そろそろ蚊帳の外はやめて頂きたいのですが・・・。」
「あれ?話してなかったけ?」
その髭引き抜くぞ?
「何も聞かされていませんよ。」
「そうかそうか!そりゃあ悪かったな。あ~坊主は“だるまさんがころんだ”は知ってるか?」
だるまさんがころんだ?子供の遊びの?
「一応知っていますけど。確か鬼が見ていないうちに鬼に近づいてタッチするんですよね?で、鬼はだるまさんがころんだって言ってから振り返って動いている人を捕まえるんですよね?それがどうしましたか?」
「実はな、この寺で遊ぶと知らない子供が混ざっているらしいんだよ。」
・・・マジで?
「その調査でここに来たっつう訳よ。ほら、だるまさんがころんだって一人じゃできねぇだろ?」
そりゃまぁそうだけど。
「その為にはまず、ここの娘、希望ちゃんが体験した話を聞かせてやろう・・・。」
柑奈さんのお父さんはニヤニヤしながら口を開いた。
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