第145話 柑奈さんの怖い話~赤い飴玉後編~
「あんの糞アマがぁぁ!!よくも
そう言った糞親父はあたしから飴玉を受け取ってお化け屋敷に走って行ったわ。
「良かった。」
正直に話したあたしに、ママは静かに涙を流しながらギュッと抱きしめてくれたの。
「ママ?」
「本当に、良かった・・・ぐすっ。」
「かんなちゃん!」
「のんちゃん?」
「えへへ、よかったね。」
「・・・うん!」
結局、赤い飴玉を貰ったのはあたしだけだった。
あたし以外、あの女の人を見ていなかったのよ。
お祭りが終わった後、おばちゃん先生にはこっぴどく叱られたわ。
「これがあたしが体験した怖い話よ。」
ふむ。どうして飴玉を貰ってはいけないんだろうか。
「ふふ。これで終わりではないんだろ?柑奈。」
「当然よ。ここからは後日談ってところね。中学生の頃にね、突然このことをあたしは思い出したのよ。思い出してしまうと、今の優のようにあたしも疑問に思ってしまったのよ。どうして飴玉を貰ってはいけないのか、ってね。」
「正確に言うと、赤い飴玉を食べてはいけないでありマスか?」
「そうよ。んで、そのことを糞親父に聞いたのよ。そしたらさ、とんでもないことが分かったのよ。」
とんでもないこと?
「実はあの幼稚園では十年前から突然子供が行方不明になることがあったの。それもあのお化け屋敷を体験した後に。」
「行方不明、ですか。」
「ええ。最初の頃は何があったのか皆が分かっていなかったのよ。けど、子供たちの共通点はお化け屋敷を体験した後だったのよ。それでおばちゃん先生はお化け屋敷から出てくる子供に感想を聞いて回ってあることを知ったの。」
「毎年、たった一人だけ赤い飴玉を貰えていること。かい?」
「その通りよ式子。行方不明になった子供はみんな赤い飴玉を貰っていたのよ。この話を聞いた糞親父は園長先生を問い詰めて聞き出した話が、元のお化け屋敷の場所よ。」
元の?最初は園内じゃないのか?
「どうやら最初は雰囲気を出すために墓地でやっていたそうよ。」
「墓地って・・・罰当たりでありマスね。」
「ええ。だから罰があったのよ。そこでその女性の霊に魅入られ、連れてきてしまったんだから。」
「そして、その女性は子供たちを誘拐し始めた。ってことかい子猫ちゃん。」
「・・・ええ。その子供たちは今も見つかっていないわ。」
今も。ということは子供たちは・・・。
「ふふ。きっと子供たちはあちらの世界に連れて行かれたのかもしれないな。お気の毒に。」
式子さん・・・。
「それでその女性は今も?」
「いいえ。あたしを狙ったことに激怒した糞親父が何十人がかりで除霊したわ。」
うん、めっちゃ想像しやすい!
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