第126話 安楽川さんの怖い話~2人乗り?後編~
それから僕は、神社でお祓いをしてもらおうと、何度も神社に足を運びました。
何回もお祓いを受けましたが、トラブルは無くなりません。
困り果てていた僕に、流石の住職さんも事情を聴いてきました。
「いったいどうしたんですかAさん。最近、毎週のようにお祓いを受けていますけど。」
「いやその・・・実は・・・。」
僕は自分に起こっていること、警察官に言われたこと。
全て包み隠さずに住職さんに話しました。
住職さんは何かに気がついたのか、一枚のお札を持ってきました。
「これは?」
「騙されたと思ってこのお札を持ってみてください。」
僕は住職さんの言う通りお札を持ちました。
すると、お札は僕の持った所から黒く染まっていきました。
「ッ!?何だよこれ!?」
「やはりそうですか。」
「どういうことですかこれは!?」
「落ち着いてくださいねAさん。貴方にはたまたま通り過ぎた霊が憑りついています。」
「は?」
僕は最初はわかりませんでしたが、段々と言葉の意味が理解でき、ゾッとしました。
「どこで出会ったのかはわかりませんが、こうした霊はしばしばいます。こういう霊は居心地がいい人を見つけては憑りつくのです。そしてある程度の時間が経過したり、霊自身が飽きたりすると霊の方から自然に離れていきます。」
「祓うことは?」
「申し訳ないですが、こういう霊に私たちの言葉は届きません。力が未熟で本当に申し訳ない。でも、弱めることは可能です。」
僕はすぐさま住職さんに頼んで霊の力を弱めてもらいました。
本当に悪い霊ではないだろうと住職さんは言いましたが、弱めてもらえるならその方がいいので。
それからしばらく、小さなトラブルは起きても怪我になるようなトラブルは起こってません。
だからいつかはきっと霊が僕から離れてくれると信じています。
そして僕は、あの時の警察官にお礼を言いたいと思っています。
『あなたは確かに“2人乗り”をしていたんですよ。』
と、教えてくれた警察官に。
「以上だよ~ん。」
「すごいですよ安楽川さん!」
「ほへ?」
「正直に言いますと、安楽川さんの怖い話なんてそんなに怖くないと思っていました!」
「おい。」
「けど、想像以上に引き込まれました!最後までどんな結末になるかわからなくて、想像するだけで楽しかったです!」
「そ、そうかな?なら、仕入れたかいがあったってもんだね。」
「はい!」
「・・・ところで優ちゃん。」
「はい?」
「お姉さん的には受け入れられるけど、いきなり情熱的に迫るのはちょっと・・・。」
「はい?・・・はッ!?」
いつの間にか手を握ってしまった!?
「・・・随分と仲が良いじゃないか優君。」
「式子さん!?」
「今来たばかりの愚者である私に弁明をしてもらおうか。」
「いや、その、あの、ね?安楽川さん。」
「いやん。」
おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?!?
「・・・尋問しましょう。」
いつの間に柑奈さん!?
「そうしようか柑奈。」
この日、僕が帰ったのは警備員に注意されてからだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます