第127話 麒麟園さんの怖い話~こっくりさん。前編~

昨日はひどい目に遭ったなぁ。

まさか安楽川さんがあんな態度をとるなんて・・・。

まぁ僕も熱くなりすぎて手を握ってしまったのは申し訳ないけど。

・・・と、いうか。

「あはははは!」

「笑いすぎですよ麒麟園さん。」

「いやだって!・・・ぐふ、あははは!」

くそぅ。

「それにしても高宮兵はモテモテでありマスな。」

「そんなことはありませんよ。みんな僕をからかって面白がっているだけです。」

「またまた~。で、誰推しでありマスか?」

「そんなものはありません。」

「え~。」

そのムカつく顔をやめなさい!

「ま、そういうことにしておいてあげるでありマスよ。」

まったく。

「ところで話は変わるでありマスが、この前学校の七不思議について話したでありマスよね?」

「はい。安楽川さんにこの学校の七不思議を聞いたので式子さんにはトイレの花子さんの話を聞かせてもらいました。」

実によい怖い話でした。

「なるほどなるほど。なら、自分から高宮兵に学校にまつわる怖い話をしましょう!」

ほぉ。それは実に興味深い。

「どんな話ですか?」

「やはり学校といえば『こっくりさん。』でありマス!」

「なるほど!確かに良く聞きますね!」

「ぐふふ。実は自分の知人に興味深い体験をした人がいるのでありマスよ。」

「へ~。どんな体験ですか?」

「これは自分の知人で、ユウちゃんという女の子が体験した話でありマス。ユウちゃんとは中学時代に知り合ったでありマスが、これから話すのはユウちゃんが小学校六年生の時のことでありマス・・・。」


「お前には霊感があるんよ。だかんら、気を付けるんだよ。」

私が小学校六年生のときでした。

誕生日を迎えた私にお婆ちゃんはいきなりそう言ったのです。

「霊感?どういうことお婆ちゃん?私、霊なんて見たことないよ?」

「それはそうさね。お前の霊感は強すぎるんよ。だかん、お前には生きてる人間と死んでいる人間の見分けはつかん。だんが、それ以外はわかるじゃろうて、注意するんよ。」

お婆ちゃんの真剣な目に、私は嘘だとは思えませんでした。

それが本当だったと信じたのはある出来事がきっかけでした。


当時小学校でやってはいけないと注意されていた『こっくりさん。』が流行っていました。

もちろん私も興味がありましたが、お婆ちゃんの言葉があり、やることはありませんでした。

でも霊感など全くない私の友人は、『こっくりさん。』を行ってしまったのです。

「こっくりさん。こっくりさん。おいでなさいませ。」

最初は友達三人がやっているのを遠目で見ているだけでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る