第124話 安楽川さんの怖い話~2人乗り?中編その1~
「休みかぁ。」
社会人になってからのまともな休みに、正直何をすれば分かりませんでした。
けど、何もしないのは嫌なので片っ端から友人に電話やラインをして暇な奴をさがしました。
だが、急なことで誰かが捕まることもなく、結局休みを実家で過ごすことにしました。
「急に帰ってくるなんてあんたもいい加減ねぇ。」
「いいだろ別に。僕だって急な休みで何すればいいかわかんなかったんだからさ。」
「彼女ぐらい作りなさいよ。」
「うるせぇ。」
「ま、あたしはあんたが家にいると賑やかだからいいけどね。」
「親父がいるだろ?」
「あんたも知ってるでしょ。お父さんは昔っから口下手だって。あんただって帰って来てからお父さんの声を聞いたかしら?」
「・・・聞いてねぇけど。」
「でしょ。あんたが家を出てから
「・・・あいつは、Bはまだ・・・。」
「・・・ええ。」
僕には一人だけ妹がいて、中学でのいじめが原因で引き籠っていました。
「あの子も、そろそろ傷が癒えているといいんだけどね。」
そう言った母さんの言葉はとても弱々しかったのを覚えています。
その夜、親父と母さんの三人で夕飯を食べながら僕はある決意をしました。
「あいつを外に誘ってみるよ。」
「え!?」
「ちょうど休みが二日間あるし、明日がダメでも明後日があるしね。」
少しでもいい、妹が笑顔になってくれれば。
そんな願いを込めて僕は神社に行くことを伝え、一緒に行こうと誘いました。
けれど、妹から返事はなくて一人で行くことにしました。
「ごめんね。」
「いいよ別に。」
「これ、お弁当。景色に良いところで食べてきなさい。」
「・・・ありがと母さん。」
本当は家族皆で行きたかった。
久しぶりに皆でどこでもいいから行きたかった。
けれど、父親は仕事疲れ、母親は引き籠った妹の面倒で無理させるわけにもいかず、一人で神社に向かいました。
「久々に乗ったけど大丈夫だな。」
実家から神社はバイクで40分ほどの距離で、それほど長旅ではありませんでした。
それに行こうとしている神社は小さい頃に家族で何度も行ったことがある場所だし地元でもあるので、何の問題も無く神社へ着きました。
「相変わらずだな、ここは。」
大きな神社ではあるのですが、祭りでもない限り人は少なく、悠々とお参りが出来ました。
無事に参拝を終え、適当な景色のいい場所に向かうことにしました。
「あそこに行ってみるか。」
僕は信号で捕まらないように知っている裏道を駆使して行きたい場所に向かいました。
そして意味の分からない出来事に遭いました。
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