第123話 安楽川さんの怖い話~2人乗り?前編~
放課後、青春真っ盛りの高校生は部活に励んだり、恋に全力だったりとやることが多いのだ。
僕の友人である高橋は今度の大会に向けて全力で練習に取り組み、部活帰りには恋人の安中さんと手をつないで帰る。
まさに青春を謳歌しているだろう。
では、僕はどうだろうか。
僕は・・・そうだな。
「とても暇ですね、はい。」
現在部室には誰もおらず、来る気配もない。
「まさか誰も来ないとは。まぁ、忙しいのは悪いことじゃないし別にいいんだけど。一人でいるのは存外やることがないな。」
なんとなく校庭を見下ろせば生徒たちが懸命にスポーツに励んでいる姿が見える。
「・・・帰るか。」
「ニャンハローー!!」
勢いよく扉を開かれると見覚えのある顔が満面の笑みで手を挙げている。
「あ、安楽川さん?」
「ニャンハロー!」
「え?」
「ニャンハロー!」
「・・・。」
「ニャンハロー!!」
「にゃ、ニャンハロー?」
「うんうん!」
いやなにこの挨拶?
「優ちゃん、暇だからあそぼ?」
・・・はい?どういうこと?新聞部は?
「あの・・・新聞部は?」
「ここ私の席ね。」
座るの早っ!?
「優ちゃんも早く!早く!」
「はぁ。」
僕も暇だし別にいいか。
「んふふ~何する?トランプとか?」
「ここには無いですよ。」
「じゃあ・・・オセロ!」
「無いですね。」
「う~ん・・・将棋?」
「無いです。」
「・・・。」
「安楽川さん?」
「将棋ってどういうルール?」
知らんのかーーい!!
「そんなことより怖い話しよ!」
いやあんたが・・・もういいや。
「いいですよ。僕が話しますか?」
「ううん。私が話すね。最近仕入れたいいネタですぜ旦那。」
ほぉ。興味深いじゃないか。
「じゃあ聞かせてください安楽川さん。」
「んふふ。覚悟するがいい優ちゃん!これは先輩から聞いた話なんだけどね・・・。」
これは僕が大学を卒業して少しのことです。
「お疲れA君。」
「お疲れ様です課長。」
「どうだい?仕事は慣れたかな?」
「えっと・・・ぼちぼち、ですかね。ははは。」
「うんうん。まぁうちはブラック寄りの会社だからね。君のような若い人はすぐにやめてしまうけど、君が残ってくれて僕は嬉しいんだよ。」
課長の言う通り、僕と同時に入社した奴らは既に皆が止めていました。
「そんな君に吉報だよ。明後日は休んでいいそうだ。」
「え?」
「部長が君の頑張りを評価したんだよ。だから明後日から二日間お休みだ。」
急な話で僕は戸惑うばかりでしたが、部長の気づかいを無下にするわけにもいかず、二日間の休みを取りました。
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