第109話 学校の怪談~その6~
どうして側に行ってはいけないのか。
男子学生はもっともっと菊と仲良くしたいのに拒絶される。
それが悔しくて、我慢ならなくて、寂しかった。
そして男子学生は決心したのです。
彼女に黙って側に行こうと。
次の日、いつも通り彼女がいることを確認した男子学生はこっそりと旧校舎に入り、彼女がいるであろう窓の場所を目指しました。
「ここって・・・。」
そこは三階の女子トイレ。
「なぁんだそういうことか!」
女子トイレだから入っちゃダメなのだと男子学生は思いました。
辺りを見回し、誰もいないことを確認してから男子学生は中に入りました。
扉を勢いよく開け、中に飛び込んだのです。
「菊!!」
だが、男子学生が見たのは笑う菊ではなく、信じられない光景、信じたくない光景でした。
「菊!?」
そう、そこには先程まで笑っていた菊の姿。
ではなく、首を吊った変わり果てた誰かのかもわからない死体でした。
「だから言ったのに・・・。」
菊の声を聞いたかと思ったら男子学生は気を失いました。
目を覚ますと、そこは男子学生が自主練していたいつもの場所でした。
すぐさま上を見上げましたが、そこに菊の姿はありませんでした。
はたして菊はいつから亡くなっていたのか、男子学生に知ることは出来ませんでした。
「以上が『トイレのお菊さん』だよ。」
「へ~・・・おい。」
「っ・・・んぐ・・・んだよ。」
「何泣いてるんだよ高橋。」
「だって、だっでよぉぉぉぉぉぉ。」
「わかった!わかったから近づくな!」
「うぅ・・・。」
「どうやら高橋君には刺激の強い話だったんだみょん!」
「そうみたいですね。」
「むふふ。流石は優ちゃんだね。オカルト研究会の名は伊達じゃない感じ~。」
まぁ、怖い話は好きですからね。
「ちなみに聞きたいんですけど。」
「何かな?」
「この学校って旧校舎が無いですよね?てことはこの話って・・・。」
「実はこの学校には旧校舎はあったんだよ。」
「え?」
「今は部室棟になってるけど、あそこは昔は旧校舎だったんだよ。それを部室棟に直したの。ちなみにお菊さんがいたと思われる三階の女子トイレは今の吹奏楽部の近くのトイレだよ。」
あそこかな?
「まぁこの話が作り話かそうでないかまではわからないけどね~。気になるなら女子トイレに突入してみるのもアリかなって思うよ。」
「遠慮しますよ。」
「だよねん。んで、マサロンが言っていたのは音楽室のピアノだっけ?確かに学校の七不思議としては有名だけど、この学校には無いかな。」
「そうですか。」
「だから三つ目の学校の七不思議を話すね。」
安楽川さんはファイルを開いて次の話を確認して笑っていた。
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