第93話 柑奈パパの怖い話~話し相手が・・・中編その2~

「・・・ヒャ。」

何かが聞こえたんだ。

けれど、声が小さくて聞き取りづらくて何を話しているかわからない。

「お、おい!」

少しばかり落ち着いた俺は扉を叩きながらあいつを呼んだんだ。

「聞こえてるんだろ!何か言いたいことでもあるのか!ならもう少し大きな声で頼むよ!」

「・・・ヒャ。」

だけど、いくら呼んでもあいつは返事をしない。

けれど、絶対に話し声は聞こえる。

だから俺に何か言いたいんだって、思ったんだ。

「頼むよ!大きな声で言ってくれ!聞こえないんだ!」

「・・・ヒャ。」

「だから!」

「ど、どうしたのA君?」

俺の大きな声におばさんは慌てていた。

「いや、今話声が!」

「・・・。」

「あれ?」

「・・・ごめんねA君。無理してるならもう来なくてもいいからね。」

「だ、だけど!」

「ごめんね。」

おばさんが来た途端に話し声が止んだ。

俺はおばさんの悲しそうな顔にそれ以上は何も言えなくて、諦めて帰ったんだ。


「それ本当か?」

だけど、絶対に話し声は聞こえた。

だからそのことをBに話した。

「間違いないよ。あいつ喋ってた。だけど、小さくて聞き取れねぇんだ。」

「そうかぁ。でも、あいつが生きているのが確認できただけでもいいじゃねぇか。」

「そうだけど・・・あいつ、俺に何か言いたいんじゃないかな。」

「お前に?」

「自信はないけどさ。けど、あいつ俺の時は話していたのにおばさんが来たら黙ったんだ。だからおばさんには聞かれたくないのかなって。」

「なるほどな。それはもしかしたら不登校の理由かもな。」

「やっぱりBもそう思うか?」

「普通に考えればな。親に不登校の理由を話すよりも友達に話した方が幾分か楽だし。」

「じゃあやっぱりあいつは俺に何か伝えたかったんだな。」

「だな。・・・なぁ、今日は二人で行かないか?」

「いいのか?お前部活は?」

「今日は顧問が出張で自主練だから部長に頼んで休むよ。だから放課後行こうぜ。もしかしたら俺も一緒の方が話しやすいかもしれねぇし。」

「ああ。」

俺は今日の放課後はBと一緒に幼馴染の家に行ったんだ。


「おっす!」

おばさんに訳を簡単に話して俺とBはあいつの部屋の前にいさせてもらった。

「おーい!いるなら返事してくれよ。」

「なぁ、今日はBも来てくれたんだ。昨日話そうとしたこと、教えてくれよ。」

「・・・。」

声を掛けてもいつも通り返事がない。

「やっぱ俺がいちゃダメなのか?」

「そんなことは・・・。」

「・・・ヒャ。」

「っ!?な、なぁ!?」

「やっぱり何か話してる。」

やはり幼馴染のあいつは俺たちに何かを伝えたいのだと思いました。

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