第91話 柑奈パパの怖い話~話し相手が・・・前編~
「よく来てくれたな式子ちゃん、坊主。」
今日の放課後は部室ではなく、柑奈さんのお父さんに呼ばれてお寺の方に来ています。
「いえ。それでお話しとは?」
「まぁ、それは柑奈が来てからだ。それよりも、だ。柑奈は学校では上手くやってるかい?」
あ~やっぱり心配してるんだなぁ。
「そうですね・・・最近では友達も増えたようですよ。ほら、この前来た・・・。」
「ああ!あの子か。へへっ。いい子が柑奈の友達になってくれてわしは嬉しいなぁ。柑奈は不器用だからな、式子ちゃんをこの家に連れてきたときはテンション上がりすぎて三日三晩お経を唱え続けたもんだ。」
何それ怖い。
「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ。」
お茶を持ってきた柑奈さんがテーブルの上に置いてくれる。
そして案の定、柑奈さんのお父さんの分はない。
「へへっ。わしも学習したんだぜ柑奈たん。」
そう言うと懐からヤクルトを取り出して、テーブルの上に置いた。
正直悲しい気持ちになってしまう。
「チッ!」
柑奈さん、その舌打ちはわざと聞こえるようにですか?
「あの、柑奈さんと何かあったんですか?」
「聞いてくれるか坊主!柑奈たんな、わしが怖い話をしようとしたら聞いてくれなくてよぉ。それで式子ちゃんに頼んだんだけど・・・なんか機嫌悪ぃんだよ。」
なんとなく察しました。
「きっと、女の日だぜ。あれは。」
「糞ジジイ、殺すぞ。」
柑奈さん、それは見せてはいけない顔です。
「・・・ごめんなさい。」
ほら!お父さんが素直に謝ったじゃん!
「それで話を聞かせてもらえますか?」
相変わらずですね式子さん!
「おお?そうだったな。実はこの前来たお客さんが聞かせてくれたんだけどな・・・。」
俺の隣の家には仲が良かった幼馴染がいる。
昔は公園で仲良く遊んでいたけど、あいつが中学校で不登校になってからは遊んでいない。
「今日も来てねぇ。」
お昼にわざわざ隣の教室まで確認しに行くが、やはり幼馴染のあいつは来ていない。
「おいA!昼ご飯一緒に食べようぜ!」
「あ、ああ。」
Bに誘われて席に着いて弁当を広げる。
「相変わらず美味そうだなA!」
「まぁな。母さんは料理好きだし。」
「いいよなぁ。俺の母ちゃんは料理得意じゃねぇからなぁ。」
「けど、一生懸命作ってくれてるだろ?」
「まぁな。・・・なぁ、まだあいつ来てねぇの?」
「・・・ああ。」
「はぁ。んじゃ何で不登校になったかもわかんねぇんだな。」
「・・・ああ。」
実は幼馴染が不登校になった理由を、俺は全く知らないんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます