第61話 麒麟園さんの怖い話~彼は何処に?前編~
「何か自分の言葉におかしい所があるでありマスか高宮兵?」
美少女が顔を近づけてくるというとても素晴らしい光景なのに、言葉で少しだけ残念な気持ちになってしまう。
「あの、高宮兵というのは・・・。」
「ん?それは高宮兵が新兵でありマスから。」
何言ってんの見たいな顔で見ないでください。
無駄に可愛いので。
「彼女の家庭は代々軍関係なんだよ。その影響と、ちょっとばかしのおかしな知識の結果が彼女の話し方だ。」
絶対ちょっとばかしのおかしな知識の責任だ。
「では紹介も済んだところで千夏、話してあげてくれ。」
あ、これで終わりなんだ。
「ぐふふ。これはこれはとても恐ろしい体験をした女性の話でありマス・・・。」
大学生に上がった私はすぐに彼氏ができ、充実した毎日を送っていました。
そんなある日の出来事です。
「なぁなぁ!俺さ先輩に心霊スポット、聞いたんだよね~。」
さっぱりとした髪型のスポーツ少年B君。
それはいつも集まる飲み屋さんで私を含めた六人で飲んでいた時のことでした。
「え~心霊スポット~?」
微妙な顔をしても可愛い顔のC子。
「何それ何それ?うち興味ある!」
いつも元気なB子。
「へへ。B子なら乗ってくれると思ったぜ。流石俺の嫁!」
「も~まだ結婚してないでしょ~。」
私たち六人はそれぞれ付き合っていたということもあり、旅行も講義もいつも一緒で、喧嘩なんてほとんどしませんでした。
「んで?その心霊スポットがどうしたんだよB。」
ちょっとヤンキーっぽい強面の彼がC君。
「いやな、その心霊スポットっていうのがこの近くなんだってさ。知らなかっただろ?」
「確かに知らねぇな。そんな話も聞いたことねぇし。」
「だっろ~。」
「続きを話してくれないかB。」
この優しい顔をしている二枚目が私の彼氏であるA君です。
「おういいぜ!あのな、この近くにさ、あんま使わねぇトンネルがあるだろ?」
「あったな。そう言えば。」
「あそこを男が一人で通ると、出てくるときには女と一緒になってんだってさ。」
「女の人と?それでどうなるのB君。」
「ああ。何でもその女を知らないフリすれば何もないんだけど、声を掛けちまうとこことは別の世界に連れて行かれるんだってよ。」
「はぁ?なんだそりゃ?異世界転生てか?」
「いやC、この場合は異世界転移が正しいよ。」
「真面目かよA!」
「でもさ~それじゃあうちら関係なくな~い?」
「ま、まぁ。」
私はこの時、内心ホッとしていました。
やはり怖いことには関わりたくはないですからね。
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