第62話 麒麟園さんの怖い話~彼は何処に?中編~

「けど気にならねぇ?本当に幽霊がいるのかさ。」

「くだらねぇ。」

「何だよ~Cは怖いのか~?」

「殺すぞテメェ!」

「ひっ!?ごめんなさい!」

「も~C!Bをイジメないで!」

「B子~。」

「イチャイチャすんなら家に帰れバカップル!」

いつもの風景に私たちは声を出して笑っていました。

そう、A君以外。

「Bの言う通り確かに興味があるな。」

「マジかよ。」

「わかるかA!」

「僕も小さなころから幽霊という存在に興味があってね。どのような存在で、どのような目的を持っているのか。」

「え、A君?」

「はは。冗談だよA子。本気にしないで。」

「だ、だよね~。」

その時はそれ以上は聞きませんでしたが、私は明らかにA君が嘘をついていることに気づいていました。


「あ~Bに会いたい~。」

「相変わらずのバカップルぶりだねB子。」

「本当に好きだっていう気持ちがこっちにまで伝わるよ。」

私たちは講義の関係上、男子と女子に分かれる時がありました。

「そう言えばさ~昨日の話って本当かね~。」

「昨日の話って・・・B君の話?」

「うん。実はね、うち気になって先輩に聞いてみたんだけど、誰も知らないって言うんだよ。」

「え?そうなの?」

「うん。だからさ、Bが誰に聞いたのかな~って思ってさ。」

「それって結構おかしい話よね?誰も知らない心霊スポットなんてあるの?」

「わっかんない。」

「で、でもB君は聞いたんだよね?その先輩は?」

「その先輩が誰かもわかんないんだよ~A子ちゃん。」

「なんか、ちょっとだけ気になったかも。ねぇ、あいつら来る前にちょっと調べてみない?」

私たちはネットを使ってあのトンネルについて調べてみました。

けれど、あのトンネルがあまり使われなくなった考察があっても、何か事件があったという話はありませんでした。

これだけだったら作り話で終わらせることもできたのですが、それをさせてはくれませんでした。

「ねぇこれって・・・。」

「こっちもそうじゃね?」

何とB君が話してくれた怖い話と似ている話は数多くあったのです。

ただ、一つだけ違う点がありました。

B君の話での“違う世界”と言っていた部分が全て“あの世”になっていたのです。

「ね、ねぇこれってさ・・・結構ヤバいんじゃね?」

「だ、だけど結局行かないんだから関係ないよ!」

「ご、ごめんA子ちゃん!」

「え!?きゅ、急にどうしたのB子ちゃん!?」

泣きながら謝るB子に私は嫌な予感がしていました。

「Bたち、今日心霊スポットに行くって!」

あの時、A君が嘘をついていることを問い詰めればよかったと私は後悔しました。

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