第41話 安中さんの怖い話~赤い手後編~
そのことを両親にもう一度強く訴えましたが、結局取り合ってもらえないままにお婆ちゃんは亡くなりました。
「お婆ちゃん・・・。」
亡くなったお婆ちゃんは優しそうな顔で眠っていました。
安中さんはあの真っ赤な手が気になり、お婆ちゃんの胸を見ましたが、真っ赤な手はありませんでした。
お婆ちゃんが亡くなったのを境に、安中さんは真っ赤な手を見ることはありませんでした。
それからは何事もない穏やかな生活を過ごしていた安中さんは高橋に告白されたそうです。
最初は勢いに負けて高橋の告白を受け入れてしまった後悔もしたそうです。
けれど、見た目に反して真面目で、優しくて、誰よりも自分のことを見てくれる高橋にだんだんと惹かれていったそうです。
そんな時だったのです、あの真っ赤な手がまた見えるようになったのは。
それは初デートの時です。
高橋のカッコつけながらも、どこか緊張している顔を愛しく思っていると。
「す、すんません!ちょっとトイレ!」
「いってらしゃい。」
照れ笑いながらトイレに向かう高橋の背中に、あの真っ赤な手が張り付いていたのです。
「え!?それって!?」
「はい・・・もしかしたら勝君もお婆ちゃんのように死んじゃうんじゃないかって。そう思ったら怖くて!」
大粒の涙を流す安中さん。
何て言っていいかわからない。
もし仮にそれが本当だとしたら高橋は・・・。
「ま、勝君は死んじゃうんでしょうか!」
「ふむ・・・。」
指を口元に置き、目を閉じて考える式子さん。
式子さんの知識に頼るしかない自分が少しだけ嫌いになりそうだ。
「ねぇ式子、これって・・・。」
「ああ。柑奈も覚えていたんだね。」
「な、何をですか式子さん!」
「この話、仮に『赤い手』と呼称しようか。この赤い手の話によく似ている話を私らは一度聞いているんだ。」
「本当ですか!?」
「本当よ優。確か・・・あれってあいつよね?」
物凄く嫌悪感丸出しの顔になる柑奈さん。
「ああ。彼だよ。」
「うげぇ・・・私あいつ苦手なのよね。」
誰のことを言ってるんだろう?
「あの!その人に聞けば勝君は助かるんですか!?」
そうだそれが大事だ!
「ふむ。それについては答え辛いが、彼にももう一度聞いてみる必要があるね。」
「そ、その人って誰なんですか式子さん!」
「彼はオカルト研究会の外部仲間、名を、
そう言うと、式子さんは素早く連絡し、明日の部活の時間に会うことになった。
そこには高橋と安中さんにも同席してもらうことになった。
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