第38話 オカルト研究会に相談事~高橋君その3~
「やっぱ、そうなんすかね。」
「ん?何かそう思う所でもあるのかい?」
気まずそうな柑奈さんとは違い、落ち着いた様子の式子さんが聞く。
「実は、美雪に告白したのは俺で、その、一目惚れだったんすよ。」
照れ臭そうに頬を掻く。
「だから美雪は俺のことなんてほとんど知らないのに、告白を受け入れてくれて、正直飛び上がって喜んだんすけど、最近はどうして受け入れてくれたのかがきになってて・・・。」
「なるほど。ほとんど知らない、それこそ初めて会った君の精一杯の告白ではあるが、どうして安中君がそれを受け入れたのかが、わからないということだね。」
「はいっす・・・。」
「その、何て言うか釣り合わないって言ったのは謝るわ。けれど余計に不思議になったわ。安中さんってそんなに軽い女に見えないんだけど?」
「俺もそんな風に考えたんすけど、わかんないし、美雪に聞くのも怖いしで。」
「高橋・・・。」
初めて見る高橋の元気のない顔に、どうにかして助けてやりたいって思えてしまった。
「式子さん、僕からもお願いします。高橋の悩みの手助けをしてもらえませんか?」
「高宮・・・。」
「ふふっ。」
楽しそうに、それでいて慈しみを籠めた笑顔を向けられる。
「もちろんだよ。優君の友達を見捨てるほど、私の人格は死んではいないよ。」
「式子さん!」
「あ、あたしだって協力するわよ!」
「柑奈さん!」
優しい二人の先輩がいたことに、僕は初めて感謝する。
「そうと決まれば本人に挑もうか。」
「え?」
「柑奈、安中君をここに連れてきてくれ。高橋君は安中君が話しやすいように隣の部屋で待機だ。」
「わかったわ。」
「は、はいっす!」
「それから高橋君、絶対に終わるまで動かないように。いいね?」
「わ、わかりましたっす。」
「じゃあ、始めようか。」
何もわかっていない子猫のように、安中さんは周囲を見回す。
「よく来てくれたね安中君。」
「は、はい・・・。」
「ここはオカルト研究会の部室で、私は代表を務める花咲式子だ。よろしく。」
「安中美幸です。よろしくお願いします。あの、私は九重さんに『話がある』って言われてきたんですけど・・・。」
「ああ。柑奈には私がお願いして呼んでもらったんだ。安中君、単刀直入に聞くよ。君は今悩んでいるんだろ?それも人には言えないような悩みで。」
「ど、どうして!?え!?」
「心が読めると言えればいいんだが、生憎そうではない。実は柑奈から安中君が何か悩んでいるように見えると聞いてね。もしかしたら・・・と、思ったんだよ。」
諦めたように安中さんは微笑した。
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