第36話 オカルト研究会に相談事~高橋君その1~

入学して一週間も経過すれば、クラスの大概の人がグループを作り、お昼を共に食べているのだろう。

けれど僕は一人で食べる。

なぜなら積極的になれなかった僕は受け身で居続けてしまい、どのグループにも入れなかったのだ。

けれど、悲しくはない。

決して強がりではないことも言っておく。

「た~か~み~や~。」

椅子を動かしながら目の前に座るチャラ男。

「一人で飯か?悲しい奴だな~お前。」

「そういう高橋も僕の前で一人飯かな?」

「いや、お前と食うから一人飯じゃねぇぞ?」

「じゃあ僕もたった今一人飯じゃなくなったんだけど?」

「え?・・・あ、そうか。ハハハ!わりぃわりぃ!」

僕の目の前に座ったチャラ男は高橋勝たかはしまさる

スポーツ推薦でこの学校に入ったが、頭が悪すぎる。

入学後の最初の実力テストで国語、数学、英語の三つのテストの合計点が二桁に届かなかったほどである。

そんな高橋だが隣の席ってだけで僕に話しかけ、僕が一人でいると気にしてすぐに絡んでくる感じ、けっして悪い奴ではないことはわかる。

「んで?何か用なのか?」

「え?」

「だって高橋は普段は学食だろ?なのに今日はわざわざ購買のパンだ。何か僕に用事でもあったんじゃないのかと思ってね。」

「お前・・・エスパーかよ。」

わりかし簡単な推理だと思うんだけども。

「あのな、俺は自分が頭が悪いことは理解してんだよ。」

急に深刻そうな顔になると対応に困るな。

「申し訳ないけど、僕も決して頭のいい方じゃないよ?」

「あ?あ、ああ!違う違う!別に勉強を教えて欲しいんじゃねぇんだ。ただその、何て言うか、言いにくいんだけどよ。」

ここまで来て言わないは止めて欲しいかな。

「話してみてよ。僕でよければね。」

「わりぃな。じゃあ思い切って話すぞ?」

そう言うと、高橋は一度深呼吸してから話し出す。

「俺さ、彼女が出来たんだよ。」

「それはおめでとう。」

彼女自慢・・・をしたいわけではなさそうだ。

「その彼女が最近悩んでいてさ。もしかして俺に何か悪い所があるんじゃないかって思ったんだけどよ、全くわかんなくてよぉ。」

こいつってチャラ男にしか見えないけど、結構いい奴なんだよなぁ。

「考えても考えてもわかんなくてよぉ。このままじゃ別れを切り出されるんじゃないかって怖くてよぉ。なぁ高宮、俺のどこが悪いんだ?」

「え?急にそんなことを言われても・・・。」

正直まだ数回の会話じゃ何もわかんないよ。

「頼む!何でもいいから教えてくれ!」

って言えそうにないな。

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