第29話 高宮君と式子さんの普段の話~その2~

新しい一週間が幕開ける月曜日、僕は昨日の出来事を忘れないために自分なりに日記を書いてみた。

その日記を何度も読み返し、とある疑問が浮かんだので、式子さんに聞いてみることにする。

「式子さん、質問してもいいですか?」

本を読んでいた式子さんは笑顔で頷いてくれる。

「ちょっとした疑問なんですけど、藍川さんの話に出てきた障害のある男の子はどうやって『呪い』について調べたんでしょうか?」

きょとんとした顔で式子さんに見られる。

変なことでも言ったのだろうか?

「あんた馬鹿じゃないの?」

式子さんの代わりに応えてくれたのは柑奈さんだった。

「そんなもん調べるくらい簡単でしょうが。今の時代、何かのオカルト系雑誌にも載っているだろうし、何よりもインターネットで調べれば簡単に出てくるわよ。」

「そうなんですか!?」

「あんた・・・いつの時代に生きてんのよ・・・。」

明らかに飽きられる。

「まぁ最も、その呪いのほとんどが信用性が高いとは言えないんだけども。」

フォローするように式子さんが言う。

「実際、呪いというのは結局のところ気の持ちようから来るものが多いと私は思っているんだよ。何かしら自分自身に後ろめたいことがあるから自分が悪くないと逃げ出したくて呪いなどのせいにするんだろうね。」

「じゃあ式子は呪いなんて存在しないって言うの?」

「そんなことは言わないさ。柑奈の言う通り、今の時代は簡単に呪いの方法が調べられる。けれどそのほとんどはんだろうね。」

不敵に笑う式子さんがちょっと怖い。

「じゃあ式子が思う本物の呪いって何よ?」

柑奈さんの質問に答えず、式子さんはじっと顔を見つめている。

「な、なによ?」

「いや、今更なんだがどうして柑奈がいるんだい?」

「なによ?いちゃ悪いわけ?」

「いいや。君が平日、特に月曜日にいるのが珍しくてね。もしかしたら私に会いに来たのかと思ってね。」

自信に満ち溢れていますね、式子さん。

「残念でした。あたしがここに来たのは部活が当分の間お休みだからよ。それにあんたに会いに来るぐらいなら優に会いに来るわよ。」

「僕も柑奈さんの怖い話、また聞きたいですね。」

柑奈さんに合わせるように言ったのに、今度は柑奈さんにきょとんとした顔で見られる。

僕の言葉がおかしいのだろうか?

「ま、まぁ、また聞かせてやらないことも無いけどね。」

なんで頬が赤いんだろう?

「何で頬が赤いんだい?柑奈。」

「うるさい!とにかく部活がない以上、ここに来るわよ。」

そう言って柑奈さんはそっぽを向いてしまった。

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