第27話 藍川さんの怖い話~クチャーニ後編~
どうしても気になっているのに、怖くて聞けないままに私たちは卒業式を迎えたんです。
流石のイジメっ子たちも卒業式までは男の子にイジメをすることが無かったので、私は決心して男のに聞いたんです。
「ね、ねぇ!」
「うん?」
まともに向き合った男の子はそこら中に
でも、ここでまた逃げてはいけないと思って、強気で聞きました。
「何で何もしなかったの?」
「・・・何を?」
「だってイジメられてたじゃん!」
「・・・だから?」
「だから?って・・・何で何も仕返ししなかったのよ!」
「・・・どういう意味?」
「そ、そのままの意味よ!あいつらにやり返すなり、親に相談するなり、先生に言うなり、色々あるでしょ!」
「ああ!」
私の言いたいことを理解したのか、男の子は満面の笑みでこう言ったんです。
「もう、それは済んだから。」
「え!?」
それだけ言って男の子は帰ったんです。
「クチャーニ・・・クチャーニ・・・。」と、最後の最後まで念を押すようにつぶやきながら。
それから私は男の子に会うこともなく、高校生活を何事もなく過ごして、頭の中から『クチャーニ』っていう不思議な言葉も忘れていました。
「それを思い出したのが、春休みの同窓会で、イジメていた子たちが相次いで事故に遭っているという話を聞いた時だったんです。」
「ふむ。クチャーニ、聞けば聞くほど不思議な言葉だね。」
興味深そうに尾口先生は『クチャーニ』という言葉を黒板に文字として書く。
「でも尾口ちゃんも聞いたことないんでしょ?」
「そうだね。これまで様々な文字に出会ってきたが、この言葉は初めてだよ。」
「いったいどういう意味があるんでしょうか?本当にそのイジメていた人たちは呪いで事故に遭っていたんでしょうか?」
考えれば考えるほど疑問が尽きない。
「ふふっ。」
そんな中、全てを見透かしたように式子さんは笑う。
「ちょっと式子!自分だけ笑っていないで考えなさいよ!」
「君たちはもう少し脳を柔らかくするべきだな。」
「何ですって!?」
「あの!花咲さんはわかったんですか!?」
「ああ。まぁ本当に呪いがかかったかどうかは不明だが、その言葉が呪いの言葉だっていうことはわかったよ。」
そう言うと式子さんは黒板にこう書いていく。
『クチャーニ』→『クチアニ』→『口兄』→『呪』と。
「ちょっとそれって!?」
「ああ、彼は本当に呪いにかけたのかもしれないね。」
嬉しそうな式子さんをよそに藍川さんは青ざめていた。
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