第23話 日曜日の活動~その3~
「尾口先生・・・。」
いつの間にそこにいたんですか?
「優君も今後経験する可能性があるから良く聞いて、心に留めていて欲しい。」
真っすぐに見られ、疑問は吹き飛ぶ。
「世間一般的にオカルトは危険な行為と考えている人が多いんだ。そのせいか、学校での活動もあまり良くは思われていない。それに生徒も近寄ろうとしては来ないんだよ。」
確かにそうだと思う。
僕自身もハマるきっかけがあったからここにいるんだし。
「でも、僕は何も知らないで危険なものって決めつけるのは良くないと思っているんだよ。怖い話を聞いたから呪われるなんてことも無いしね。」
「それに関しては私は賛同しかねますよ?」
空気が読めない式子さんがいらっしゃる。
「ははは。確かに絶対にとは言わないよ。けれど、基本的に呪われるような話を君たちはしないだろ?」
「それは・・・そうですね。」
式子さんに反論はない。
「僕はね、君たちの怖い話を聞いて結構楽しんでいるんだよ。だからこういう楽しさもあるんだよって伝えたいって気持ちがあるんだ。」
「それで布教作業なんですか?」
「う~ん厳密には違うかな。まぁ多くの生徒にオカルト研究会というのがあるんだよって少しでも認識してもらえればそれでいいんだ。」
「それが今後の活動にもつながるからね。」
式子さんがニコっと笑いかけてくる。
「今後の活動とは何ですか?」
「我々オカルト研究会では生徒のそういう悩みを聞いてあげるんだよ。」
「え?」
いまいちピンとこない。
「偉大なる先輩たちが始めたことなんだよ。」
「えっと、何をでしょうか?」
「はぁ~式子はそれで伝わると思ってるかんなぁ。優は苦労するぞ~。」
「へ?」
「あのな優、オカルト研究会ではそういうオカルト的な悩みを持った生徒を助けてんのよ。例えばそうだな・・・去年の活動だけど、生徒の一人が呪いの人形を持ってきたことがあんだよ。んで、その人形を預かって供養したんだよ。そういう感じだな。」
「はぁ~なるほど。オカルト研究会ではそういうこともするんですね。」
「ああ。だがそれだけじゃないぞ優君。」
式子さんの目が輝いている。
「生徒の奇妙な体験を親身になって聞いたり、月に一度、遠足という名目で心霊スポットにも行くからな。」
想像よりもアグレッシブだな、オカルト研究会。
「それを今日は決める日なんだよ。優君。」
「それが決め事ですか。」
だいたいの活動内容はわかったぞ。
「んで式子、今月はどこに行くのよ?」
「ふむ・・・そうだな・・・。」
楽し気な式子さんの頭の中では遠足のプランが出来ているんだろうな。
「今回は、首なし狸を見に行こうか。」
式子さんは嬉しそうに言った。
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