第24話 日曜日の活動~その4~

「く、首なしタヌキぃ?あたしそういう動物系は嫌なんだけど!」

「そう吠えるな柑奈。首無し狸とは、某県にある狸の銅像のことだよ。」

柑奈さんのにらみつけが怖いので話を進めよう。

「その狸の銅像を見に行くんですか?」

「ああ。それについてこれから簡単に話しておこう。」

そう言って式子さんは怖い話を聞かせてくれた。


「ねぇ知ってる?」

「急に何よ?」

「首の無い狸の話!」

「何それ怖い。」

「ちょっと真面目に聞いてよ!!」

「はいはい。んで、その話は何よ?」

「実はね、隣町にある大きな狸の銅像、知ってるわよね?」

「もちろん。いつも大きな物を持ってらっしゃるなって。」

「手つきが卑猥ひわいよ!そうじゃなくって!その狸の銅像は一つじゃないのよ。」

「え?そうなの?」

「そう!実はもう一つ狸の銅像があるのよ。その銅像はお年寄りの間でしか知らないらしいのよ。」

「そりゃまたどうして?」

「それは・・・その、わかんないけど・・・でもあるのよ!もう一つ銅像が!」

「ふ~ん。それで?」

「でねでね!聞いた話だと、そのもう一つの狸の銅像には首が無いらしいのよ。何で無くなったのか、その首が何処にあるかわかんないのよ!」

「そりゃ災難で。」

「ここからが重要なのよ!なんでもその首の無い狸の銅像は深夜毎日首を探して周りをうろうろと動いてるんですって!」

「まぁ見つけたいよね、首。」

「それでその首の無い狸の銅像に出会うと、首を探すように命令されて、見つけられれば幸せが、見つけられなければ首を取られちゃうんだって!」

「はぁ~よくできた話ですこと。」

「ちょっと!信じてないでしょ!」

「う~ん・・・申し訳ないけど、あんまり。」

「んもう!」


「とまぁこんな話を聞いてね。」

一人二役をこなすとは・・・流石は式子さん。

「確かに信じ難い話よね~。あやふやな部分が結構あるし。」

「私も初めはそう思ったが、調べてみると確かにあるんだよ。首の無い狸の銅像が。」

そう言うと式子さんはバッグの中から一枚の写真を取り出し、机の上に置く。

「これって!」

「そう。時間帯は昼間だが、確かに首の無い狸の銅像だ。」

本当に綺麗に首から上の部分がない。

「この場所も特定済みだ。だから見に行ってみようと思ってね。もちろん、深夜ではなく昼間だけどね。」

学生である以上、節度は持たないとね。

「う~んあんま気乗りしないけど・・・。」

「嫌なら来なくてもいいんだぞ柑奈?この遠足は強制参加ではないからな。もちろん、私と優君は行くがな。」

僕は強制であると?

「い、行くわよ!」

「よろしい。ならば第三週の土曜日に学校前に集合だ。」

一応、メモしておこう。

「先生もいいですよね?」

「ああ。予定を開けておこう。」

「では、これで今月の決め事は終わりだ。」

満足そうに式子さんは手をパンっと一回叩いた。

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