どこかで聞いたことあるような怖い話

calbee

第1話 はじまりのはなし

中学生の頃、初めてホラー番組を見た。

今まで触れることの無かった世界に心が揺さぶられた。

好奇心なのか、恐怖から来るドキドキを楽しんでいるのかはわからない。

けれど高揚したのは事実だった。

僕は夢中になってホラー小説を読み漁り、怖い番組も毎回見続けた。

そんな中学校生活を終え、今日、新しい春と共に高校生になった。

そして、ショックを受けた・・・。


「えっと・・・それは本当ですか先生?」

「事実だ。昨年の活動が思わしくなかったオカルト研究部は廃部になったんだよ。まぁ部員数も足りなかったし、仕方がないと言えば仕方がないんだよ。」

何とも言えない気持ちに自然と唇を噛んでしまう。

「だけど、だ。部員の中にはオカルト研究部を続けたいという奴もいてな。部員はほとんどいないが、尾口先生の頑張りもあって今はオカルト研究会ならあるぞ。」

「え!?本当ですか!?」

「本当だ。だが、部活動としては認められていないから内心表には反映されないぞ。部活に昇格したければ・・・っておい!高宮!」


僕は先生にお礼も言わずに全速力で走って行った。

嬉しかったんだ。

入学式の部活動紹介でオカルト研究部が無かった時には絶望したが、今はとても希望に満ちている。

話したい!僕が聞いた怖い話を他の人にも聞いて欲しい!知って欲しい!

息を切らしながら、僕はこの場所を見つけた。


「し、失礼します!」

高鳴る鼓動を抑え、失礼の無いように扉をノックする。

「・・・誰かな?」

扉に手をかける前に声を掛けられる。

「あ、えっと、にゅ、入部希望者です!」

声に少しだけ怯んでしまい、扉を開けずに答えてしまう。

「入部希望者?君は間違っているようだ。ここは部活動ではないよ。」

少しだけ棘のようなものを感じる声が僕が入ることを拒絶する。

「で、でも!ここはオカルト研究会ですよね!?」

「そうだが・・・君はそれを知って上でここに入部しに来たのかい?」

声が柔らかくなったことで僕の気持ちも楽になる。

「はい!」

「・・・そうかい。なら、入りたまえ。」

手の汗を適当に拭き、扉を開ける。

そこには・・・桜が舞い散る背景が似合う黒髪ショートの大人びた女性が微笑んでいた。

この人こそが、僕の知らないような聞いたことあるような怖い話をしてくれる大切な人、式子さんだった。

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