327話 アキ明、作戦会議にて論ずる その1




 前回までのあらすじ


 ダメポニーのせいでとんでもないピ○ゴラス○ッチが発動して、ソフィーちゃんが自業自得とは言え酷い目にあったよ。


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「質問してもよろしゅうございますか? ツーサイドアップ様?」


 前回生意気な返事をしたソフィーに対して、ミレーヌは嫌味ったらしく尋ねた。


「このアイアンクローから… 解放していただけるなら… 」


「するわけないだろうが! 調子にのってんじゃねえぞ、このツンデレ娘!!」

「イタタタ… すみません…! ほんとすみません…!」


 ソフィーの返事に怒りを増したミレーヌは、アイアンクローの威力をあげる。


「オマエはどうして何度も何度もミリアちゃんを泣かせるんだ!? 正直に言ってみろ? 泣かせてやるから!」


「もう、泣いてます~~!!」


 涙目で訴えるソフィーであった。



 翌日、フラム要塞ではルークの兵士達への労いと鼓舞の演説が終わった後、会議室で今後の作戦行動の話し合いが行われていたが、ユーウェインの気持ちは決まっていた。


「私はデビルロード砦が修復される前に、叩こうと考えている。諸君も知っていると思うがあの砦は200年前に天音・セシリア様達が率いる魔王討伐部隊が、攻略するのに半年を要したモノだ。しかも、我らの戦力は、200年前より少なく、更に時間も被害も増える可能性は高い。故に完成する前に叩く」


「ですが、こちらの準備も戦力も整っていません。このまま攻略に向かっても被害が大きくなるかもしれません」


 ユーウェインの意見にリディアが、現状を鑑みて不安を提示する。


「例え完成したとしても。準備をしっかりしてから、じっくりと攻略してもよろしいのではないですか? 我らは魔王軍との戦いに、2年耐えて来たのです。それがあと1年伸びたとしても、問題ないと思います」


 それに続き慎重なエドガーも慎重論を唱え、その意見に他の四騎将も賛成した。


「その意見も一理ありますが、慎重に行動して要塞が完成してしまえば、事はそう簡単にはいかないと思います」


 その発言をしたのは、上座に座るユーウェインとルークの間に座る<ルーク陛下公認特別軍師>と書かれた襷を肩から掛け、右手に羽扇を持ったアキであった。


「特別軍師、その意見を披露して欲しい」


 ルークはアキを権威付けるために、自ら彼女に意見を求めるとアキは満を持して、まず要塞が完成した時の事から説明を始める。


「強固な要塞や城などの攻略には、概ね3つの方法があります。1つ目は攻城兵器や兵士による外部からの攻略、2つ目は内通者などを使った内部からの攻略、3つ目は周囲を囲んでの兵糧攻めです」


 アキは要塞が完成してしまった場合、上記の攻略法のうち味方の損傷を最小限で抑えることが出来る2と3が使えないと自分の意見と知識を話す。


 その理由は、2はこの世界の魔物は食料を必要としないので、兵糧攻めは不可能でるといこと。3は魔物相手に内部からの切り崩しも不可能であるということだ。


「そうなれば、外からの攻城戦となりますが、長期戦となるのは過去の例から間違いありません。ですが、そうなると問題が生じます。それは、魔王城から援軍が送られてくるということです」


「でも、アキ。今までの獣人本拠点攻略時には、援軍は来なかったし200年前も来たという記録はないわ」


「エスリンさん、それは甘い考えです! 今まで来なかったからと言って、次も来ないという考えは、楽観的と言ってもいいです! 罰としてこれを着用してください!」


 アキは☓マークの書かれたマスクをエスリンに付けさせる。


「今までは獣人同士の仲が悪かったからか、魔王が命令していなかったから、わかりませんが獣人拠点からの援軍が来なかったのは事実です。それに魔王城からの援軍が無かったのは、間に合う距離では無かったからだと推察しています。ですが、今回は違います」


 タイロンは、☓マークマスクを付けたエスリンの姿を見て、笑いそうになるのを堪えながら彼女の意見を肯定する発言をおこなう。


「確かにデビルロード砦は、魔王城と1~2日の距離にある…。長期戦になれば、援軍は十分間に合うな…」


「でも、アキさん。200年前は出してこなかったけど、今回援軍が来るのはどうして… 簡単ね。魔王が変わったからね」


 リディアは、アキに何故今回援軍が来るのか訪ねようとするが、自分でその簡単な答え辿り着いてしまう。


「その通りです。それともう1つ根拠があります。もし、魔王が城から援軍を出す気がないなら、オーガ本拠点でも良いわけです。それを修復作業中に襲われる危険を冒してまで、デビルロード砦を修復させるということは、援軍を出すと考えるのが自然だと考えます」


 アキは自信たっぷりに、自身の推察を述べるが正直絶対という確信はない。

 こうして、会議は続くことになる。



 ##############


 今回本編のオチが弱いので、茶番は後半となりました!


 <激闘! うさ釣り祭り₍ᐢ。 ˬ 。ᐢ₎ その10>


 前回のあらすじ


 深夜のイリノモテ野うさぎ飼育所で、ウサギが警戒するために照明を消した真っ暗な中でウサギ釣りをする3人。


 リズ似のウサギを釣り上げた紫音と、アフラ似のウサギを釣り上げたソフィーによるデッドヒート!


 現在のポイントはアフラ162P 紫音209P ソフィー224P


 果たして、誰がウサ釣りキングになるのか!?



 <午前1時00分 ふれあいの森どうぶつ王国 イリノモテ野うさぎ飼育所>


 ㋐「ノエミンソンちゃんは、眠いって帰りました」

 ㋛「昨晩深夜まで、頑張っていたから仕方がないよ」

 ㋞「私も帰りたいわよ!!」


 真っ暗な中から紫音とソフィーの言葉が返ってくる。


 <午前1時30分>


 ㋐「既にアフラちゃんは、マジ寝釣りに入っていますね」

 ㋞「あの子は、最初からマジ寝釣りだったわよ!」


 <午前1時40分>


 ㋞「ちょっと、眼鏡先輩! ライトオンして!!」

 ㋐「ウサギが連れましたか!?」


 ㋞「連れてないけど、いいから早く! 餌が… 餌がないのよ!!」


 慌てるソフィーの訴えに、アキDが照明をつけると彼女の餌箱にあった山盛りの餌がすっかり空になっていた。


 そして、そのエサ箱の近くには、お腹を膨らませたアフラウサギが「ゲフッ」といった感じで、仰向けで寝転がっている。


 ㋞「この能天気食いしん坊ウサギ~~~!!」


 ソフィーがアフラウサギにツッコミを入れると、その側にジト目の白ウサギが、満腹といった感じで座っている。


 ㋞「いつの間にか、もう一匹増えているじゃない!?」


 ソフィーは両手でそのうさぎを掴んで持ち上げると、その表情を見て誰かに似ていることに気付く。


 ㋞「この存在感の薄さと白い毛にジト目… ノエミにそっくりね…」

 ㋛「ノエミちゃんウサギだね」


 ㋐「ソフィーちゃんに、30ポイント!」

 ㋞「私釣ってないけど!? この子が勝手に餌を食べに来ただけだけど!?」


 不本意なポイントゲットに、ツッコミを入れる真面目なソフィーであった。


 現在のポイントはアフラ162P 紫音209P ソフィー254P


 <午後2時00分>


 ㋛「アキちゃん! 連れたよ、ライトオン!!」


 紫音の声が暗闇に響き、アキが照明を付けると紫音の竿は大きく撓り、糸はいつ切れてもおかしくないぐらいにピンと張っている。


 ㋛「凄く思いよ! これはきっと大物だよ!!」


 紫音は慎重に糸を巻き近くに手繰り寄せる。


 すると、暗闇から「キューキュー」とウサギの鳴き声が近づいてくる。


 暗闇から照明が照らす明かりに現れたそのウサギの姿は、先程紫音が釣り上げたリズ似の銀色毛ウサギで、釣り糸を自らの胴体に巻きつけると空いた両手で青色の毛をした気弱そうなウサギの胴体を掴み無理矢理引きずる姿であった。


 鳴いていたのは、リズウサギに掴まれて無理矢理連れてこられたミリアウサギであった。


 ㋛「2匹だったから、重かったんだ~」


 ㋞「『2匹だったから、重かったんだ~』じゃないわよ! あのおかしな光景を受け入れてんじゃないわよ! あのリズウサギは、器用に自分の体に釣り糸を巻きつけて、仲間を掴んで連れてきているのよ!? 明らかにウサギらしからぬ事をしているのよ!?」


 ソフィーは深夜で頭の回転が下がっているのか、少し長めの説明臭いツッコミをしてしまう。


 ㋛「お利口さんだね!」

 ㋞「もう、いいわ……」


 ソフィーは睡魔と疲れから、ダメポニーへのツッコミを諦める。



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