323話 運命の邂逅?
<激闘! うさ釣り祭り₍ᐢ。 ˬ 。ᐢ₎ その7>
<午後11時50分 ふれあいの森どうぶつ王国 イリノモテ野うさぎ飼育所>
㋐「これより、イリノモテ野うさぎ釣りを行いたいと思います。<イリノモテは夜も眠らせない>という愉しませ方をしますね~」
㋞「イリノモテじゃなくて、アナタが眠らせないだけじゃない!!」
深夜の暗闇にソフィーのツッコミが響き渡る。
現在アフラ162P 紫音179P ソフィー194P 只今うさ追い女王の座に一番近いのはソフィーであるが、このうさ釣りの結果しだいではどうなるかわからない。
㋞「いつ取ったポイントよ!!」
遂に説明にまでツッコミを入れだすソフィーであった。
㋐「昨日と今日の昼間に、ウサギをもふもふしていた回数だよ。ソフィーちゃん~ 文句言いながら、一番ウサギをもふもふしていたね~」
㋛「ソフィーちゃんは、ツンツンだけど可愛いものが好きだから」
㋞「うるさいわよ!」
ニヤニヤする紫音とアキDに、ソフィーは顔を真っ赤にしながらツッコミをいれる。
㋐「最後の戦いは長期戦なので、頑張ってください」
㋛「制限時間は敢えて言わないの?」
㋐「敢えて、言いません。それでは、参りましょう。最終戦<夜釣よ、今夜もありがとう>プレイボール!」
アキの号令と共に、三人はノエミンソンの作った餌を釣り竿に付けて、ウサギ釣りを始める。
#######
「えっ!? 何!? これどういう事!?」
ソフィーが驚くのも無理はない、何故なら茶番が終わって本編に入ると思っていたら、椅子にロープで縛られているからだ。
「フフフ。驚いているようだね、ソフィーちゃん」
驚くソフィーに紫音が声を掛ける、どうやら彼女にこのような事をしたのはダメ先輩らしい。
そして、紫音の後ろにはアキも立っている。
「ダメ先輩!? これはどういうことよ!? 茶番が終わったのにまた別の茶番が始まっているんだけど!?」
「そう茶番第二幕の始まりだよ! そして、その目的はソフィーちゃんをぎゅーってするためだよ!」
紫音は一拍置いてから、神妙な面持ちで今回の茶番の説明を始める。
「ソフィーちゃん、私はこう考えたんだよ…。茶番とは本編ではできないことする場所ではないかと… つまり、本編ではできないソフィーちゃんをぎゅーってする場所だと!」
「何を訳のわからないことを言っているのよ! どうして、私がお姉さまとならまだしも、ダメ先輩とぎゅーってしないといけないのよ!」
「ソフィーちゃんが悪いんだよ。ソフィーちゃんが、いつまで経っても本編でデレないで、お姉さんを焦らすから!」
紫音はそのような自分勝手な事を言いながら、厭らしい手付きでソフィーに迫ってくるので、彼女も必死の抵抗でツッコミを入れることにした。
「どうして、私が悪いのよ! 悪いのはダメ先輩でしょうが! 今の自分の姿を鏡で見てみなさいよ! 欲望に満ちた悪いお姉さんが映っているから! そんなにぎゅーってしたいなら、ミリアを抱きしめなさいよ!」
「ミリアちゃんは、本編で抱きしめ放題だから、茶番でする必要は無いんだよ!」
「アキ先輩も黙ってないで、このダメ先輩に何とか言ってやってよ!」
「私のことはお気になさらずに、仲良くしてください」
アキは2人の百合百合シーンを脳内でTS化して、BL漫画のネタにするつもりである。
「この薄情者ーー!!」
薄情なアキに罵声を浴びせながら、足をばたつかせできるだけ抵抗するソフィー。
「うふふふ、ソフィーちゃん。今すぐぎゅーって、してあげるからね!」
「いやぁ~~~~!」
紫音が厭らしい手付きで椅子に縛られた哀れなツンデレに迫ったその時、後ろに気配を感じたので振り向くとそこにはアリシアが笑顔で立っており、紫音が距離を取る前に抱きついてきた。
「茶番とは素敵な企画ですね! こうして、本編ではできないことをしていいのですから!」
「アリシア!? 離してアリシア! 私はソフィーちゃんを、ぎゅーってしないといけないから!」
「わたくしはシオン様を、ぎゅーってしたいんです!!」
アリシアを引き離そうとするが、紫音のパワーでは引き離せず困ってしまい、アキに助けを求める。
「アキちゃん! 助けて~~!!」
「アリシア様×紫音ちゃんでも、私は一向にかまわんッッ!!」
だが、アキからは即答で拒否する答えが返ってきた。
アキからしたら、紫音(ヘタレ属性)×ソフィー(ツンデレ属性)でもアリシア(王子様属性)×紫音(ヘタレ属性)でも、TS化カプとしては有りなので、助ける必要が無かったからだ。
強いて言うなら、ソフィー(ツンデレ属性)×紫音(ヘタレ属性)の紫音総受けにして欲しい事ぐらいである。
「ソフィーちゃん! 助けて~」
「自業自得よ、ダメ先輩! よく言うでしょう? <世の中に悪の栄えた試し無し>って!」
「そんな~!!」
「シオン様~~~~♡♡♡♡」
こうして、紫音は親友の裏切りと自業自得によって、アリシアにこの後一時間ほど抱きつかれ続けることになった。
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前回のあらすじ
アキが悪漢達に、グヘヘされそうになっていると、暴れん坊○軍の徳○新○助ばりに颯爽と現れた爽やかな青年が、あっという間に悪共を成敗して撃退したのであった。
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スピード自慢の紫音とソフィーが、到着する前に決着がついているため、ルークの強さが窺える。
「アキちゃん、大丈夫? 怪我はない?」
「こんな時間に女の子が、外を一人で歩いては駄目よ!」
紫音とソフィーは心配そうな表情で、アキに注意しながら近づいてきた。
「紫音ちゃん、ソフィーちゃん。私は大丈夫だよ。この人が助けてくれたから」
アキは心配してくれている二人に、感謝を述べるとルークを紹介する。
「そうなんだ。アキちゃんを助けて頂いてありがとうございました。えっーっと…」
「私は貧乏貴族の三男坊、ルーカス・アシュフィールドだ」
ルークは紫音が自分の名前を言えずにいるのを見て、名乗っていなかった事に気付き自己紹介をおこなう。
「私はシオン・アマカワで― 先輩……?」
はルークの顔を改めて見直して、記憶の底に封じていたとある人物の顔とそっくりなため驚きのあまり言葉を失ってしまう紫音。
自分もルークを先程から誰かに似ていると考えていたアキは、紫音のその様子を見てようやく誰のことだったのかを思い出す。
(そうか… 爽やかイケメン先輩に似ているんだ…)
アキ自身も間近でルークを見ながら、紫音が中学生の時に告白してフラレた爽やかイケメン先輩に、ルークが似ていることに驚く。
(※詳しくはプロローグ参照)
「二人共黙ったまま、どうしたの?」
そして、そんな二人の様子にソフィーは、不思議そうに声を掛けるが、ルークは彼女以上に少女二人の様子に戸惑いながらその理由を尋ねてきた。
「私が誰かに似ているのかな? 先程シオン君は私を“先輩”と呼んだが、その人と似ているのかい?」
「はい。昔の知り合いにそっくりだったので… すみません…」
「いや、別に謝られるほどの事ではないさ」
失礼にも顔を驚いた表情で見つめていたことに、紫音は申し訳無さそうに謝罪するが、ルークは爽やかな笑顔と共に気にしないようにと返事をする。
「その先輩を金髪にして青い瞳と白い肌にしたら、アシュフィールドさんになるぐらいそっくりなんです」
そして、まだ驚きで頭の整理がつかない紫音の代わりに、アキが自分達が驚いた原因である彼にそっくりな先輩の説明をしてくれた。
この初恋相手にそっくりな人物との思わぬ邂逅は、紫音に何を齎すのか?
今はまだわからない。
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