287話 続・本拠点攻略開始!
前回のあらすじ
リザード本拠点攻略が開始される。
人間達は氷魔法を主軸にリザード達と激戦を開始する。
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人間側攻略軍(要塞騎士団と複数大手クラン)総勢約300名 対 リザード軍約200体の戦いが始まった。
氷魔法や遠距離攻撃を潜り抜けて水辺から上がってきたリザード達を、紫音や近接職は後衛職の元に向かわせないように戦う。
「やあ!」
紫音はリザードをオーラの大太刀を軽やかに振るい、次々と一刀のもとに斬って魔石に変えていく。
「私も紫音さんに、負けないよー!」
アフラはソフィーの指示で紫音をサポートするために側で戦っていたが、その活躍を見て奮起しリザードにハイオーラパンチを叩き込んで、その姿を魔石に姿を変えた。
「フリーズ!」
ミリアも紫音の勇姿を見て、奮い立つと氷属性最高位魔法『フリーズ』をリザードに唱えて撃破している。
紫音の活躍が周りを奮起させ、皆はリザードを次々と倒していき、まるで主人公のような役割を果たす。
「おかしい… あのダメダメ紫音先輩が、こんな活躍しているなんて…」
ソフィーはあの紫音がやらかさず活躍を続け、しかも周りを奮起させていることに、不審に思い始めるが、アリシアがそんなソフィーのネガティブ発言を否定した。
「シオン様が活躍するのは当然です! だって、シオン様はわたくしの― 」
だが、ソフィーは百合王妹様のお花畑反論を無視して、状況を観察していると二人の後ろからアキがやってきて彼女の意見に賛同する。
「確かにおかしいね…」
「アキさんもそう思いますか?」
ソフィーは自分の心配に共感してくれたアキを見るために振り向くが、その彼女の服装を一目見ると思わず突っ込んでしまう。
「って!? おかしいのは貴女のその格好ですよ!」
アキの今回のコスプレは、全身赤い色のノースリーブの服で、サングラスを掛けている。
「そうですよ、アキさん。なんですか、その派手な格好は?」
王宮育ちで世間に疎いアリシアも、全身真っ赤な姿で戦場にいるアキの姿に違和感を覚えたようで突っ込んでみる。だが!
「派手なのは、アリシア様もですけどね!!」
「ええっ!? わたしくしもですか!?」
その発言は、ソフィーに秒で突っ込まれてしまう。
彼女のツッコミは遂に王妹様にも炸裂して、更に容赦なく補足ツッコミが叩き込まれる。
「銀色ベースに金の飾りのついた派手な鎧と盾、それに剣! あと、その綺麗な長い金髪!アキさんとは別の意味で目立ちまくりですよ!!」
長い金髪は理不尽なような気がするが、確かにアリシアの鎧姿も派手ではあった。
しかし、アリシアの鎧が派手に目立つのには理由がある。
それは、この鎧の元の持ち主であるセシリアが、この目立つ派手な鎧を纏い目立つことで、戦場において味方の注意を集め自分の戦う姿を兵士達に見せて、士気を鼓舞するために作らせたものだからであった。
因みに、ユーウェインが目立つ色の鎧を身に着けているのも同じ理由からである。
「それはともかく、お二人共シオン様への評価が低すぎませんか? 今のシオン様は新たな力と武器を手に入れて、とても強くなっているんですよ?」
アリシアは鎧の話は置いていて、自分の大切な紫音への評価が低いことに、自分の紫音への評価を持って反論とした。
「アリシア様、そんなふうに考えていた時期は私にもありました…」
それに対して、アキはアリシアにどこかで聞いたようなセリフを言った後に、今度は自分の紫音への評価を話し始める。
「前回の戦いまでは、私も紫音ちゃんは変わった。新しい力と武器を手に入れて、ラノベ主人公みたいにこれから無双すると思っていました。ですが、人とはそう変われぬものだと知ってしまったのです…」
ここまでは、まともな意見であった。
だが、ここから少しおかしなことを語りだす。
「前回の戦いでアリシア様も見たでしょう? 紫音ちゃんが敵陣の真ん中でやらかして動けなくなり、私以外に頭に黒猫耳を付けさせるのを許したのを…」
「あの猫耳姿のシオン様は可愛かったです!」
アリシアは猫耳紫音を思い出して、少し興奮気味で感想を述べる。
「何より、私以外をご主人様と呼んだのを!! まるで、NTRた気分ですよ!! 脳を破壊された思いですよ! だから、あんなやらかしをした紫音ちゃんの評価が低いのは仕方がないのです!」
「後半何言っているか、わからないんですけど!?」
<NTR>や<脳を破壊>という、聞いたことのない単語を連発するアキに突っ込みを入れた後、ソフィーは以前から紫音とアキの関係で気になっていた事を質問してみた。
「前から思っていたんですけど、アキさんってシオン先輩への愛情というか友情の表現がおかしいですよね?」
その質問に対して、アキはキリッとした表情で<そんな事はない!>と、こう強く弁明。
「ソフィーちゃん、それは違うよ! 誤解だよ! 私は豆腐メンタルの紫音ちゃんを鍛えているんだよ! メンタルの弱い紫音ちゃんに、普段からヒンヌーと言って精神を鍛え、猫耳を付けて精神を鍛え、BLの18禁絡みシーンをワザと見せて、その可愛い反応を見て楽し― メンタルを鍛えたりしているだけだよ!」
「最後、本音が出ていたじゃない!!」
アキはソフィーのツッコミを無視して紫音への行為は、あくまで親友の精神を鍛えている行為だと言い張る。
決して、紫音を弄ってその可愛い反応を見て楽しんで、しかもそれをして良いのは自分だけという歪んだ愛情を持っていることはないと否定した。
アキは紫音を心配して、高額なミスリル装備を買い与えているし、冒険者でもないのに本業のBL漫画を描く時間を削ってまで、戦いに参加していることから紫音のことを友情の示し方はともかく大切にしていることはみんなには伝わっている。
三人が紫音の話をしているうちに、戦局は次の段階に移った。
先程まで氷属性魔法を使用していたことにより、その冷気によって本拠点から見て300メートルから400メートルの間の水辺は凍りついて氷の足場となり、人間側はその分前進して戦線を押し上げることができるようになった。
氷結した水辺は人間達にとっては足場であるが、氷属性が弱点のリザード達には微小ではあるがダメージを受ける床であり、その冷気で身体能力が少し下がってしまう不利な地形となる。
もちろん、これは人間側が狙っていたことで、計画ではこれを繰り返してリザード本拠点までの水辺を凍らせて足場にするつもりである。
「よし、少し前進するぞ!」
「おーーーー!!」
ユーウェインの進軍の号令に、参加者は鬨の声をあげて応えると前進を開始した。
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