232話 親友との会話




 前回のGMR(女神のお気に入り以下略ミステリー調査団)のあらすじ


 w( ゚д゚) < リザードの旗が何故か24本から4本になっていたのだよ!

 ソフィバヤシ  < そして、人類は滅亡するんだよ!


(; ・`д・´) ・`д・´) < な、なんだってー!! >(`・д´・ (`・д´・ ;)

  リズダ  ミリマル                 アキヤ シオナカ


 ######


 リザード軍の旗が4つに減って、侵攻が無くなった為にミリアの不安がなくなったと考えた紫音は、黒猫耳のついたカチューシャを頭からすぐさま外す。

 ミリアは、紫音が猫耳姿を辞めてしまった事を残念だと思っていると、その紫音が近づいてきて、自分の頭に外した猫耳カチューシャをつけてきた。


 猫耳ミリアを見た紫音は、目を輝かせて彼女にこう言ってきた。


「やっぱり、思った通りミリアちゃんにピッタリだよ! 凄く可愛いよ、ミリアちゃん!!」

「確かに可愛いですね」


 紫音の感想通り、猫耳の付いたミリアはとても可愛らしく、エレナも似合っていると褒める。


「似合っているわよ、ミリア」


 ソフィーも褒めると、恥ずかしがり屋のミリアは「あぅぅ~」と、顔を真っ赤にして恥ずかしがってしまう。


 すると、興奮する紫音がミリアにこのようなことをお願いする。


「ミリアちゃん! お願いだから、ネコのポーズを取りながら<にゃ~>って、言ってみて!」


 そして、紫音の要求を聞いたアキは、同じく興奮しながらミリアにお願いする。


「甘いよ、紫音ちゃん! どうせなら、<御主人様、ご奉仕するニャン♪>と言って、ミリアちゃん! そうしたらお姉さん、お小遣いあげるから!」


 アキのその欲望全開のお願いを聞いた紫音は、更に欲求を爆破させた願いをミリアに要求した。


「それなら、ミリアちゃん! お姉さんは甘えるように<紫音お姉さん…、ミリニャと遊んで欲しいにゃ~>って言って欲しいよ!!」


 駄目なお姉さん二人に、欲望剥き出しのお願いをされたミリアは「えぅぅ~」と、言って猫耳をつけたまま恥ずかしがりながら、自分の部屋に逃げ帰ってしまった。


 ミリアに逃げられた駄目なお姉さん二人が、がっかりしているとリズがジト目でこう言ってくる。


「恥ずかしがり屋のミリアちゃんが、あんな要求を受けるわけないッス」


 すると、その言葉を聞いた<駄目なお姉さんその1>の紫音が、リズにこのような事を言ってくる。


「だったら、リズちゃんが言ってよ! こっちは、銀髪猫ちゃんでもオッケー何だからね!」


 <駄目なお姉さんその2>アキが追加注文してくる。


「それならリズちゃんには、<御主人様…、リズニャの事もっとかまってほしいニャ>と言ってもらいたいよ! そうしたらお姉さん、幸せになってお小遣い奮発するから!!」


 リズはお小遣いという言葉に一瞬心が揺らぐが、自分の中の何か大切なものを失うような気がして<駄目なお姉さんその2>の誘惑を断ち切ることにして、ジト目のままネコのようにプイッとして、自室に帰っていった。


 こうして、<駄目なお姉さんその1>は屋敷の庭に修業をしに、<駄目なお姉さんその2>は教会にいるフィオナに会いに出かけることにする。

 フィオナ一行は、リズの女神武器授与式が終われば帰る予定であったが、新たな女神の神託により、暫くこの街に留まることになった。


 その頃、アルトンの街の隠れ家では、魔王達が一夜にしてリザードが大量に殲滅させられた事に、始めは驚いていたが<どうせ、女神の仕業でしょう?>で結論が出て、その後は次のオーガ戦まで暇なので、のんびりと過ごしていた。


 魔王は女神がその気なら、また『魔物精製魔法陣』を強化してやろうかと思ったが、実行しても女神の目的が人間側に時間的猶予を与えることなら、また同じように殲滅させられるだろうと考える。そこで、本拠点の方は暫く様子を見ることにして、別の手を打つことにした。


 紫音が昼食を食べた後、再びオーラの大太刀の修業をしていると、アキが教会から帰ってきて紫音の修業の様子を暫く見てから声を掛けてくる。


「紫音ちゃん。今おこなっている修業に苦戦しているみたいだね?」


 紫音はアキが自分の修業の事を尋ねてくるのが、珍しいと少し疑問に思ったが素直に今の状況を答えた。


「うん…。今回の技はなかなか難しくて…」


 アキは紫音の返事を聞くと、このような提案をしてくる。


「これから、自分の屋敷に帰ろうと思うんだけど、紫音ちゃんも一緒に来ない?」

「でも…、私は訓練しないといけないから…」


「ここでなければ、できないことじゃないでしょう?」

「確かに、そうだけど…」


「私の屋敷周辺の景色覚えている?」

「うん。元の世界で住んでいた場所に似ているよね」


 アキは紫音との会話を誘導すると、用意していた答えを彼女に話し始める。

「そう、そこだよ! 紫音ちゃんは、今修業に行き詰まっているでしょう? 紫音ちゃんが長年剣術の修業をしていた場所に似ている私の屋敷周辺でおこなえば、その時の事を思い出して上手くいくかもしれないよ?」


 確かに、剣術もオーラの修業も似ているところはある。

 修業環境を自分の剣術の原点に戻せば、昔お婆ちゃんに教わった事を思い出したりして、何か掴めるかもしれない。


 少なくともここで続けるよりは、何かを得られるかもしれない。

 紫音はそう考えると、アキの提案に乗ることにした。


「アキちゃん。私、一緒に行くよ!」

「うん。じゃあ、旅の準備が終わり次第行こうか」


 紫音とアキは、彼女の屋敷があるファルの村行きの最終定期馬車に飛び乗ると、半日かけて目的地である801御殿に向かう。

 801御殿に到着した時には、すでに辺りは薄暗くなっており、二人は屋敷に入ると夕食の準備をすることにして、修業は明日から始めることにした。


 その頃、アルトンの街の酒場ではノーマ・シュリアーとナタリー・エヴァンスが、久しぶりに酒を酌み交わしていた。


「飲みすぎよ、ノーマ」


 今回アルトンの街に来たナタリーは、久しぶりに学生の時の親友であったノーマを誘って飲みに来ていた。


 ノーマは久しぶりの親友の誘いと、今回の雑誌の手応えで気分が高揚して、飲酒のスペースが速くなってしまいすっかり出来上がってしまっていた。


「これはね、勝利の前祝いなのよー! 今回こそ私は『月刊OTOME COMIC』に、ハンナに勝つことが出来るのよー! これが飲まずには、いられないでしょうが~。そもそも、貴方がハンナにオータム先生を紹介したのが悪いんでしょうがー。おかげで私がどれほど辛酸を舐めたことか…」


 ノーマの八つ当たりにナタリーがこう言い返す。


「貴方が、オータム先生はうちの雑誌には、まだ早いって断ったのでしょう?」


 ナタリーは当初アキを彼女に紹介しようとしたのだが、ノーマがアキは自分の所よりハンナの所のほうが作風を活かせると言って、断ったのであった。


「だって、あたりまえでしょうが~。オータム先生はまだ子供だったのよ? うちの雑誌は大人のグチョグチョ、ドロドロで… そんな漫画描かせる訳にはいかないでしょうが…」


 ナタリーの反論に、ノーマは酒のグラスを持ったままそう言い返してくる。


(昔からそういうところだけは、律儀なんだから…)


 ナタリーはすっかり酔いつぶれたそんな不器用な親友を見て、いつものクールな表情に少し嬉しそうな笑みを浮かべていた。

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