160話 戦う以外の役割
前回のレスバ
オータム801(BL漫画家・新刊発売中)
@autumn801
ちょ!! 聞いて、聞いて!!
今キャンプしてるんだけど、目の前の焚き火でイケメン二人が、熱い眼差しで見つめ合って、手を繋いでる…!! 見てる私達は、心の中でガッツポーズして、隣の担当編集と腐女子友と三人で熱い握手を交わした…wwwww
品乳組局長@sion_Bcup 5分
お二人は、握手していただけだよね!? 自分好みに腐らせて、真実を捏造してるよね!?
貴腐人AKI@aki_mountain_river 4分
うるせーぞ、ヒンヌー! 年下専百合厨は黙ってろ! ( ゜Д゜)
隠れBL信者@erenaBLlove 3分
品乳組局長、自重してください
BL編集者@Carina5963 2分
空気読め、品乳組局長!!
品乳組局長@sion_Bcup 1分
ひどい!!(><)
#####
すっかり心が凹み、更に今日の戦いで疲れた紫音は、今日はもう寝ようと思いテントに入ろうとして、まだテントの割り当てをしていないことに気付いた。
「テントの割り当ては、どうしましょうか?」
紫音の問い掛けに、アキは目を輝かせながらこう言ってくる。
「私とカリナさん、それにエレナさんはテント(大)を使わせてもらうよ」
「今夜はBL談義で熱くなりそうですね!」
同じく目を輝かせながら、エレナも紫音達相手ではこのような話が出来ないため、とても嬉しそうにしている。
「明日辛らくなるから、程々にしましょうね?」
カリナは少し興奮気味のエレナを大人として窘めるが、“これは下手したら一睡も出来ない程、熱くなるかもしれないな。だが、望む所!”と、内心では胸が熱くなっていた。
「フフフ腐腐腐……」
三人は、これからおこなわれるBL談義に、心踊らせて笑みを浮かべていた。
「シオンさん……、私はリズちゃんと二人で、テント(小)にしますね」
ミリアは立ち直ったとはいえリズが心配で、彼女と一緒にいることにした。
「じゃあ、私とソフィーちゃん、レイチェルさんの三人で残ったテント(大)だね」
「冗談じゃないわよ! どうして私がテント泊のたびにアナタと一緒にならないといけないのよ。私はお姉さまとテント泊するんだから!」
そう言って、ソフィーは紫音の提案を却下して、クリスの元に走っていく。
が、数分後元気のない顔でトボトボと帰ってくる。
「じゃあ、寝ようかソフィーちゃん」
「うん……」
紫音は何も聞かずに、帰ってきたソフィーにそう声を掛けた。
テントに入ると年長者であるレイチェルに、まずどの位置で寝るか伺いを立てる。
「私は端っこで構わない。それに、君達二人が隣り合わせのほうが、気を使わなくていいだろうしな」
(私が真ん中だと、二人のイチャラブが見れないしな……)
その頃、ミレーヌに警護されるために、彼女の屋敷の客室で一晩を過ごそうとしていたお姫様は、言い知れぬ不安に襲われていた。
「何でしょうか……、この嫌な予感は……。シオン様がわたくし以外の女の子と必要以上に仲良くしているのでは!? でもレイチェルには、シオン様に親しく接してくる者に、特に幼馴染のアキ様には気をつけるように言ってあるし、わたくしの杞憂でしょう……」
アリシアはそのレイチェルが欲に負けて、紫音とソフィーを隣り合わせにしたことを知らずに、就寝することにする。
「レイチェルさん、一つ聞いてもいいですか?」
「何かな?」
「不躾な質問かも知れませんが……。レイチェルさんは、カリナさんと仲が悪いんですか? 先程お二人が話をしていた時に、なにかぎこちなさを感じたので……」
レイチェルは少しの沈黙の後に、経緯を語りだす。
「冒険者育成学校から騎士団まで一緒だったが、お互いの趣味の事で時々言い合っていたくらいで、仲が悪いってわけでは無かったな……。むしろ、将来一緒に人類の平和のために戦おうと誓いあっていた……。でも、彼女は3年前の魔王との戦いで、戦死してそれが原因で戦うことに恐れを感じて、私との誓いを破って騎士団を…冒険者をやめてしまった……。それを許せない気持ちが、気付かない内に態度に出てしまっていたのかもしれないな……」
レイチェルは何故年下の紫音に、このように自分のカリナへの気持ちを包み隠さず話してしまったのか、自分でも不思議であった。
「カリナさんが戦死して、それで次また戦死するのが怖くなって、冒険者をやめてしまったのは解る気がします。私も一度死んでいますから……」
「シオン・アマカワ、アナタ1度死んでいるの!?」
寝たふりをして話を聞いていたソフィーが、びっくりして紫音に聞き返す。
「うん。くる……鉄で出来た魔物に体当りされてね……。今でも、あの時の事を思い出すと怖くてたまらないかな……」
「でも、シオン君。君は今その恐怖を乗り越えて、立派に戦っているじゃないか! それに比べてカリナは……」
「私が戦えるのは、運良くある方にとても強い戦う力と強い心を頂いたからです。そうでなければ、私も冒険者になって戦っていなかったと思います」
紫音は、この世界に来る時のフェミニースとのやり取りを思い出しながら、そう思いを述べた。それまで、黙って聞いていたソフィーがレイチェルに対して、自分の意見を述べる。
「元四騎将に選ばれるぐらいの才能のあるレイチェルさんには、力と才能の乏しい人間が戦場で戦うのがどれほど恐ろしいか解らないと思います。私も才能が無い方の人間なので……、カリナさんの気持ちは痛いほどわかります。自分では勝てないかもしれない、強力な魔物と対峙した時のあの気持は…」
「ソフィーちゃんも十分強いと思うよ?」
紫音のこの言葉に、ソフィーはこう返す。
「私はスピードとオーラ特化なだけよ。あとは、技スキルがマシなだけで、力や防御や耐久値なんて酷いものよ。たぶん、一発まともに攻撃を受けたら、致命傷になるぐらいにね……。だから、総合スキルはB。しかも、最近なったばかりで、Aになるのはまた何年かかるか……」
「その若さでBなんて、凄いじゃないか。騎士団でもBなんて、そうはいないのだから」
「そうだよ,ソフィーちゃんは凄いよ!」
レイチェルと紫音の励ましに、ソフィーは淡々と答える。
「総合スキルAAの人達に言われても、嫌味にしか聞こえませんよ」
(ソフィーちゃんって、意識高い系だな……)
その彼女の言葉を聞いた二人は黙るしかなく、紫音はソフィーが弱いとは思っていないので、こう思いながら彼女の話を聞く。
「まあ、私の話は置いといてですね、カリナさんが戦うのが怖くなったことは、仕方ないということです。」
ソフィーが、やや強引に話を着地させたような気がしたので、紫音は自分の意見を話す。
「それに、私に力をくれた方がこう言っていました。” 無理に戦う必要はありません。あなたの考える人々の役に立つ立派な女性になりなさい。“と。カリナさんの今やっている編集者のお仕事は、世の中に娯楽を提供して皆の気持ちを明るくしてくれる立派なお仕事だと私は思います。少なくともアキちゃんやエレナさんは感謝していると思います」
「戦うことだけが、人類の未来の為では無いということか……」
レイチェルは、紫音とソフィーの話を聞いて考え込む。
「私が間違っていたようだな……。人にはそれぞれの人類への貢献の仕方が、あるということか……。二人共ありがとう。明日カリナと話しをしてみるよ……。それでは、私はこれで眠るとするよ」
レイチェルは二人に礼をして、眠りにつく。
「おやすみなさい」
(よかった。これで、お二人の仲が良くなってくれるといいけど……)
それを聞いた紫音は、就寝の挨拶をしながらそう思いつつ、自分も就寝しようとするが隣のテントの、腐女子談義の話し声が少し気になって、暫く眠れずにいる。
すると寝たと思ったレイチェルが、二人に対してこのような事を聞いてきた。
「二人はいつになったら……、その……、恋バナとかその他の話をして、盛り上がって、それでなんやかんやで『キャッキャウフフ』するんだい? こっちは、さっきから薄目で待機しているのに……」
「さっきまでのいい話が台無しだよ!!」
紫音とソフィーは、二人息ぴったりで今日最後のツッコミをおこなった。
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