122話 双剣少女、頑張る。





 前回のあらすじ

 ソフィーがトロールの副官ユングフラウとの戦いで苦戦していると、頭の中に最近OLみたいなオフの過ごし方をしていた、山の女神コスをしたミトゥースの声が聞こえてくる。


 ”苦戦しているようね、ソフィー”

(ええ、だからミトゥデルードの事を説明して欲しいんですけど)


 ”特殊能力を使った後にリスクがあるけどいいかしら?”

(覚悟はもうしているわよ! でも、どんなリスクか教えて欲しい…… です)


 ソフィーは一応どんなリスクか聞いておくことにした。


 ”まず、オーラが暫く使えなくなるわ。あと、体にも少し負担があるわね”


 暫くオーラが使えなくなるのは、自分の戦闘スタイルではかなり痛いが、背に腹は変えられないとソフィーは決意する。


(使い方を教えて下さい!)


 ”では、まずミトゥデルードに<女神の祝福を我に与え給え!>と祈りを捧げなさい。その後にオーラを武器に込めなさい、そうすれば特殊能力が起動するわ“


 ソフィーは言われたとおりにミトゥデルードを構えて、「女神の祝福を我に与え給え!」と祈りを込めて、オーラを武器に注ぎ込む。


 すると、ミトゥデルードに取り付けられた女神の宝玉が輝き始める。

 そして、ソフィーのオーラを吸収すると振動音を発し刀身が超高速で振動し始めた。


「何これ!? 刀身が震えているんだけど!?」


 ”それは振動剣と言って、刃に超音波振動を与えることにより…… “


「超音波? 振動って何よ!? もっと解る言葉で説明してよ!」


 ソフィーはミトゥースの聞いたことのない言葉による説明に突っ込んだ。


 ”まあ、刀身が震えているとなんだかんだで、切れ味が良くなるってことね”


 ミトゥースはすごくざっくりとした説明をした。


 ”切れ味を上げるって、オーラブレードと同じってこと?”


 ソフィーの質問にミトゥースはこう答える。


 ”オーラブレードは熟練しだいで切れ味が変わるけど、コレはオーラを注ぎ込み続ける限り素人でも達人のオーラブレード並みかそれ以上の切れ味を与えてくれるの”


(この状態ならあのトロールにダメージを、与えられるってこと?)

 ”そのとおりよ”


「理屈はわからないけど、ダメージが与えられるなら何でもいいわ」


 ソフィーはミトゥデルードを構えると、ユングフラウに向かって走り出す。

 ユングフラウは突進してくるソフィーに大剣を振り下ろして攻撃するが、彼女は余裕で回避してオーラステップで急加速する。


 そして、セオリー通り足の横まで来ると足に斬りつけると先程までソフィーの攻撃を受け付けなかったユングフラウの肉体に刃がスッと入り、足に大ダメージを与えることが出来た。


 ソフィーは直ぐにその場を離れ一度距離を取り構え直す。


「嘘みたいにダメージが入った……、これならいけるわ!」


 武器の性能に自信を持ったソフィーは、再びユングフラウに突進する。

 ユングフラウは振り下ろしでは躱されると判断し、今度は左から右に大剣を薙ぎ払う。

 ソフィーはその薙ぎ払いをジャンプして回避すると、着地と同時にオーラステップで加速して左脚の斜め後ろまで移動し、今度は左脚に右手の斬撃を放ち、足を半分くらい斬ると続けて左手の武器で斬撃を打ち込む。


 左手の斬撃はユングフラウの左脚のすね当てごと左脚を切断した。


 左脚を失ったユングフラウはその場に左の膝をついて、左脚付近にいるソフィーに左手で攻撃しようとするが彼女はすでに右足の側に移動していて、先程ダメージを与えた所にさらに斬撃を加えて右足も切断する。


 その場所から満足に動けないユングフラウは、両膝をついて大剣を振り回しソフィーを近づけないようにするが、彼女のスピードの前では無意味であった。


 彼女は振り回される大剣の範囲の外を、反時計回りで円を描きながら走って死角に入ると、ユングフラウとの距離を詰めながら背後に近づく。


 ユングフラウもソフィーの動きに合わせて、両膝で彼女の移動方向に体を向けようとするがソフィーのスピードについていけず、背後に回り込まれてしまう。


 背後に回ったソフィーはオーラステップで急加速すると、ユングフラウの背中に近づいてジャンプして空中で体を大きく体を横に捻る。


「スピンブレード!」


 そして、その回転力を利用して力いっぱいに、二本のブレードで斬りつける。


 ユングフラウは背中に大ダメージを負って、両手を地面について思わず前屈みになるとソフィーは跳躍して、ユングフラウの背中に乗ると背中に二刀流で連続斬撃を繰り出す。


「ミラージュブレード!!」


 二刀流で高速移動しながら連続で斬り抜け、更に無数の斬撃をユングフラウに加える。


「その自慢の怪力を活かせないまま、逝きなさいっ!」


 そして、ソフィーは言いながらミラージュブレードで、ユングフラウ体中を切り裂いて耐久値をゴリゴリ削っていく。


 ユングフラウはついに耐久値が大幅に減りその場に倒れ込む。


「これで、終わりよ! スピンブレード!」


 ソフィーは最後に頭部に向かって走り出すと、頭部にスピンブレードを打ち込んでユングフラウに大ダメージを与える。


「グアアアアア!!!」


 スピンブレードを頭部に受けたユングフラウは、断末魔をあげると魔石に姿を変えた。


「ハァ、ハァ……。やった……、私が一人で副官を撃破したわ!」


 ソフィーは女神の力を借りたとは言え、自分が副官を倒した事に喜びを感じる。


(これで、私もようやくみんなの役に立てたわ……)


 彼女はこれでようやく紫音やクリスに近づけた気がした。


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