第五話 正式採用

 黄巾討伐の功により、劉備は朝廷より徐州大守に任命され、民衆の為に善政を敷いていた。

「あれ、おっかしいなぁ?」

 道端で龍二は髪を掻き上げて困っていた。率直に言えば道に迷ったのだ。

 この日、彼は劉備に城に呼ばれていたのだが、元々『超』が付くほどの方向オンチである龍二は、自宅から学校、友人の家、行き着けの店以外、たとえ地図を見ていようが確実に道に迷う特殊能力を備えている。

『ったく。お主は何をどうやったら三時間も道に迷うのじゃ? お主、あれか? 地図が読めない人間か?』

「うっせえよ」

 彼は今一度城への道順を確認すべく地図を取り出そうと時、どこらからタチの悪そうな男達の怒声が聞こえてきた。

『龍二』

 青龍が言う前に龍二は地図を投げ捨てて声が聞こえてきた方へ走り出していた。

 その場所には数人のゴロツキが、一人の少年を囲んでいて、所謂カツアゲに似たことをしていた。

「何とか言えやゴラァ!」

 少年は男達の怒声に激しく脅え、身体を震わせていた。

「おいおっさん達。その辺にしておけよ。そいつ、脅えてんだろ。つか、大の大人がガキ囲んでカツアゲなんてカッコ悪りぃしみっともねぇぞ?」

 突然間に割って入った部外者の龍二に、邪魔をされたゴロツキ共は当然喰いかかる。

「んだテメェ!」

「邪魔すんじゃねぇゴラァァ!」

「あ~あうっせぇうっせぇ。だからヤンキーは嫌いなんだよ」

 一人のゴロツキが剣を抜いて斬りかかったが、『龍爪』で剣を弾き飛ばし、柄の部分でそのゴロツキの頭を強打した。

「構うこたねぇ、殺っちまえ!」

 怒り狂ったゴロツキ共が一斉に襲いかかってきた。

「ったく、めんどくせぇな」

 彼は巧みにいなしながら、ゴロツキ共の武器を弾き、連中の頭部に、脇腹に、足に『龍爪』の柄で攻撃した。

「覚えてろよっ」

 負け犬の捨てゼリフを吐いてゴロツキ共は惨めな姿で逃げていった。

「おととい来やがれバーカ」

 腹いせのように龍二は近くに落ちていた小石を連中に向かって投げてやった。

「大丈夫か?」

 龍二は少年に声をかけた。少年は涙眼で、脅えながら彼を見上げていた。

「怖かったのか?」

 少年は、うんと頷いた。

「もう、あの連中が来ることはないだろうから、早く家に帰んな」

 城に行くことを思い出した龍二はそう言って立ち去ろうとしたのだが、袖を少年に引っ張られてしまい、行きたくても行けなくなった。

 見れば少年は眼を潤まして自分を見上げているではないか。

───可愛いな

 龍二は正直にそう思った。

「・・・・・・一緒に、いてほしいのか?」

 おそらくこう思ってんだろうなぁ、と思った龍二がためしに訊いてみると、少年はこっくり小さく頷いた。

「そっか・・・・・・・・・」

 龍二は少年の頭に手を置いた。彼の気持ちは決まっていたに違いない。

 何故かこの少年を見ていると、何か不憫でしょうがなく思えてきた。というか、放っておけなくなってきた。

 だから

「───分かったよ。一緒にいてやるよ」

そう告げてやった。

 少年はたちまち破顔していきなり抱きついてきた。

「ちょっ、おい、止めろって」

 少年に頬擦りなどをされ迷惑そうに言うが顔はそうでもないように緩んでいた。

───まあどうせ遅れてるんだし、俺一人いなくても別に支障無いだろ?

 そんな風に開き直っていると、遠くから数人の団体がこっちに走ってきているのが眼に入った。

「あーっ。こんなとこいたー」

 先頭にいたのは達子だった。彼女は龍二を発見するや走りだし

「アンタまた迷ってたの!」

ありったけの声で龍二の耳元で怒鳴った。あまりの音量に龍二の鼓膜は悲鳴をあげた。一歩間違えれば確実に鼓膜は破裂していたことだろう。

「どうしたんだい呉禁。やけに嬉しそうだね」

 団体の一人、劉封は子供のようにはしゃいでいる呉禁に話しかけた。

 彼は身振り手振りで伝えようとしていることを表現した。

 彼はある事情から言葉を話すことができないのだ。そして極度の人見知りであるので、幼なじみの劉封ら数名にしかなつかないし、彼のジェスチャーを理解できない。

「星彩、関平。どうやら、呉禁はそこの趙蓮殿にゴロツキ共から助けてもらったことがよほど嬉しかったみたいだよ。お兄さんができたってさ」

(うん、俺はいつからそいつのお兄さんになったのかな? かな?)

 達子に説教されつつ、龍二は聞こえてくる劉封の発言に疑問を持っていた。

「あらあらあら。珍しいこともあるわね」

「いいんじゃね? むしろ人見知りがちったぁ治ってさ」

 二人は大層喜んでいるようだった。話からすると、この少年───呉禁はかなりの人見知りのようだ。それに、どうやら言葉を話すことができないらしい。

「んなことより、アンタのせいで皆待ってんだからね! 早く来なさい!」

 感慨耽る龍二に、達子は怒りながら彼の耳を引っ張って城に向かってドスドスと歩き出した。

「い゛だ。い゛だだだだ! ちょっ、たつ、まっ、あ゛だだだだっっ!!」

 龍二の悲痛な叫びを無視して、達子は「キリキリ歩けバカ龍二!」と怒鳴り散らした。









「あー耳いてぇ・・・・・・・・・」

「おや。今日はかなり迷っていたようですね」

 城について早々安徳に痛いところをつかれてしまい、咄嗟に「うっせえ」と言いかけたが、ここに来てからずっと肩車から離れない呉禁の笑顔を見て、それを思いとどまった。

「白龍。その子は誰?」

 呉禁に気づいた泰平が龍二に訊いた。

「呉禁っていうんだ。なっ?」

 にこにこしながら呉禁はこっくり頷いた。

 城に集まっていた関羽や張飛といった呉禁を知る者達は、彼が見ず知らずの他人(龍二)になついているのを見て唖然としていた。

 関羽は彼が唯一よくなついていた劉封をよび、理由を尋ねた。理由が判明すると、成程と納得した。

「劉備さん。我々を呼んだ用件は何ですか?」

 劉備は、うむと咳払いして彼らに告げた。

「君達を正式に私の臣下にしようと思ってね」

 言われた本人達は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で口をポカンと開けていた。たかが数日間しかいなかった人間をいきなし仕官させるとは、劉備はなかなかの仁君なのか人を疑うことを知らないのか。

 どっちにしても、彼らは劉備に好印象を持ったのだが。

「正式に・・・・・・ですか?」

 訝るように、安徳が訊いてみる。

「君達をいつまでも〝客将扱い〟するのは少し忍びなくてね。それに行動面でも客将だと色々制限されてしまうから、形だけでも臣下にしたいんだよ。他には、他国に取られたくないってのもあるんだけどね。

───さっ、孔明、彼らにあれを渡してくれ」

 諸葛亮は四人にそれぞれ書状と印授を手渡した。




───趙白龍、貴公を歩兵校尉南亭侯に封ず───






 このような内容が、龍二の書状に書いてあった。他の三人のも最初は同じで安徳は北亭侯、達子は東亭侯、泰平は西亭侯と書かれていた。

「肩書きは私が勝手に決めてしまったけど、これでいいかな?」

「はあ、まあ、我々に異存は無いですけど」

「それはよかった。さて、仮にも君達は兵を率いる将となったわけなんだが、君達に護衛兵をつけようと思うんだ」

 劉備に続くように孔明が各人の護衛団を発表した。






趙蓮(龍二)護衛将隊

劉超、劉封、呉禁、黄明こうめい


劉安(安徳)護衛将隊

高蘭、曹卓そうたく張耳ちょうじ孫舞そんぶ


周平(泰平)護衛将隊

陳明、諸葛徳、袁亮えんりょう、黄満


司馬尚妃(達子)護衛将隊

星彩、関平、曹妃そうひ周美しゅうび


◎護衛将隊総隊長・劉超

◎同総副隊長・高蘭





 このように発表した。聞いたことのない名前もあったが、それはここが異世界だからということで了解することにした。

「そういうことだから、これからもよろしく頼むよ」

 はいと返事すると、それぞれの将隊と早速親交を深めることにした。

「いやぁ貴方が私の護衛将となるとは、思ってませんでしたよ」

「私も貴方と一緒になれてよかったですよ。

───これなら、色々とやれそうですねぇ・・・・・・・・・くくく」

 安徳、高蘭が何やら黒い会話を始めたのを聞いた龍二達の顔に青線が現れた。

(あぁ、最悪・・・・・・・・・)

(うわぁ、地獄だぁ・・・・・・・・・)

 最凶最悪の二人が一緒になってしまったことに泰平は絶望を覚えた。その横では呉禁が龍二と一緒になったのがよほど嬉しかったのか、思いっ切りはしゃぎまくっていた。龍二もまんざらでもないように喜んでいた。

 そんな中、星彩は泰平に近づくと彼の顔をじーっと見つめ出した。

「あの・・・・・・星彩さん? 僕の顔に何かついてます?」

「ん? あぁ、違うわよ。その、『めがね』っていうの? 姉さんの言ってた通り、不思議なものだなぁって思ってね」

(姉さん?・・・・・・あぁ、張飛さんのことね)

 時々、泰平はここが一種の平行世界であることを忘れることがある。今集まっている中にも、この時点ではいないはずのホウ統や姜維といった面々が女性としてこの場にいるのでついつい自分たちの世界で知られている彼らと比較してしまう。

(ついつい忘れちゃうんだよなぁ・・・・・・・・・)

 頭を掻きつつ、彼は暫く星彩と談話に花を咲かせていた。

「趙蓮君たち。早速なんだが、領内を見回ってきてくれないか?」

 劉備の頼みに彼らは元気に頷き、護衛将隊を率いて初仕事に向かっていった。

 その日以来、呉禁は龍二にベッタリとくっついていて四六時中彼の側を離れなかった。

 龍二も、彼と共に行動しているうちに、最初は分からなかった彼のジェスチャーがだいぶ分かるようになってきていた。端から見れば本当の兄弟のようである。

 呉禁が何故話すことが出来ないのか。龍二はその理由をしらない。だが、知る必要はないと思っている。知った所で自分でどうこう出来る問題かどうか分からないからだ。それに、別に話せなくとも今のままで十分である。これでも彼には満足だった。

「白龍くん」

 後ろから、彼の護衛将隊副隊長・劉封が声をかけてきた。

「ん? 何? 劉封」

 劉封は少し慌てているようだった。しきりに周りを見回してから彼のもとに来るや耳元で

「急いで逃げた方がいいですよ」

そう小声で告げた。

「何でだよ?」

「尚妃さんがかんかんに、それこそ鬼のごとく怒ってましたよ」

 とは言われても、彼には達子が何故怒っているのか理由が分からなかった。

「確か・・・・・・『朱鋭』がどうとか言ってましたけど?」

「───あ゛っ・・・・・・あー」

 龍二は思い出した。今朝、この前耳元で大声て怒鳴りやがったことへの仕返しに、達子の『朱鋭』にちょっとしたイタズラをしたのを。

「すっっかり忘れてた・・・・・・・・・」

 すると、どっからともなく

「白龍~! どこだ~!」

「どこ行きやがったあのクソガキィィッッ!!」

と達子と朱雀が烈火のごとく怒っている声が耳をつんざくように聞こえてきた。

「やっべ・・・・・・っ! 劉封、後は任せた! ついでに誤魔化しよろしく!」

 後事を劉封に託し、彼は呉禁を置いて脱兎のごとく全速力で逃走した。

 呉禁は劉封の袖を引っ張り、不安そうな瞳で彼を見つめた。

「大丈夫ですよ。その内『無事に』戻ってきますよ」

 劉封は優しく微笑んで呉禁の頭を撫でた。

「そうだ。趙香ちょうこうさんが美味しいものを作ったそうですよ。食べに行きませんか?」

 劉封はこの時龍二のことを忘れていた。

 呉禁の表情はみるみる明るくなり、満面の笑みで劉封と共に城に戻った。







「ふぅ。なーんとか、まけたか~」

 膝に手をついて龍二は喘いでいた。適当に全力で逃げ回っていたので、ここがどこだか分からなかった。

「あっ。泰平だ」

 顔をあげた所にたまたま泰平がいた。彼はある一点をボケぇっと見つめていた。

 龍二は彼の近くに行き、彼の見ている方に眼をやった。そこには、どうやら飛行機のようなものがあった。その機体には日の丸が描かれている。

 泰平は龍二の方を向くことなく口を開く。

「なあ龍二。何であれがここにあるんだ?」

「そのあれと言うのが、俺たちの眼の前にあるゼロ戦のことならな」

 彼らの眼の前にあったのは、第二次大戦で使用された零式艦上戦闘機、通称ゼロ戦であった。草むらに隠れているものの、ほぼ完全な状態でそこに忘れられたように置かれていた。

「何でこれがあるんだ?」

 泰平が再度訊いた。

「・・・・・・どうせあの白髪野郎に連れてこられた誰かのじゃねぇの?」

 彼は今考えられる中の最有力をあげた。

「ほら、やっぱそうだ」

 ゼロ戦のコックピットを探っていた龍二が何かを拾ってそれを泰平にヒラヒラと見せてやった。

 泰平は近くに行って彼が拾ったものに眼を凝らした。 

 

『大日本帝国陸軍第七航空部隊中佐 田山孝次郎』

 

 彼が持っていたのは、こう書かれていた名札の様なものだった。

「どうやらそのようで」

 泰平はため息をつく。

「なあ、ヤス。コイツらもこっちにいるのかな?」

「いや、別の時代じゃない。仮に僕らの時代にいるなら、この先何かしらで会うはずだよ。玄武から聞いた話じゃ、その人、こっちの方で色々トラブルでもあったらしくって、僕らの世界でめぼしい人を片っ端からパクってきてはこっちで事に当たらせていたらしいよ?」

「ふ~ん・・・・・・んで、何か聞こえてこないか?」

「いや? 何も・・・・・・・・・?」

 泰平が首を傾げていると、遠くの方から砂塵と共に怒鳴り声と情けない声が聞こえてきた。

「待て―――っ、関平――――っ!!」

「うわ――――っっっ!誰か助けて――――――っっ!」

 それは星彩の怒声と関平の悲鳴であった。そして、二人は真っ直ぐこちらに向かってきているではないか。

「ヤス。関平が助けを求めてるぞ?」

「龍二、君にも求めてるんじゃないか?」

「いやいや。俺よりお前の方が適任だって」

 何を基準にして言ってるんだいという愚問は敢えて聞かないことにした聞くだけ無駄というものだ。

「で、どうやってよ?」

「ほれ、お前の十八番でさ」

 泰平は、ああ、と手をぽんと叩いた。その手があったなと言わんばかりに懐を探り出す。

 そうこうしているうちに、例の二人はどんどんこちらに近づいてきている。

「でも、何で関平君が星彩さんに追いかけられているんだ?」

「どうせ恋人同士の定番の痴話ゲンカじゃねぇの?」

 龍二は当たり前だろと言わんばかりに肩をすくめる。

 そんな関平は二人に気づきありったけの大声で叫んだ。

「た――す――け――て――――――っっ!」

 それは関平の悲痛な叫びだった。だが、関平と星彩の距離は悲しいかなどんどん縮まってきている。

 泰平は三枚の札を取り出すと、地面にそれを置き印を結び呪を唱える。

「・・・・・・ヤムナン、マラクタンッ」

 関平と星彩がちょうどいい所まで来た時に、彼は玄武・政義・為憲を召喚した。ただ、前回と違う所は、霊体ではなく〝実体〟であった。

「わあ~! ヤスぅ。すごいね~」

「・・・・・・おい、ヤス。アイツら、腰抜かしてるぞ」

 突然地面に置かれた紙から、人が出現して、二人追う追われる立場であることを忘れるくらいビックリしてしまい腰を抜かして地面にへたりこんでしまった。

「ひっ、ひっ、人 が・・・・・・・・・っ」

 あまりの衝撃的出来事に関平は舌が回らない。

 龍二は泰平の横で必死に笑いを堪えていた。関平らが驚いているのも彼の中では笑えたが、その時、今朝早くに報復の名目で朱鋭にイタズラして、それを見た達子が驚いたりしているのを物陰に隠れて見て声を押し殺して爆笑していたのを思い出したのだった。

「何をそんなに面白おかしく笑っているのかな?」

「何って、あのバカ達子のオドロキッぷりがこの上なくおもしろ・・・・・・く・・・・・・・・・て・・・・・・・・・」

 立て付けの悪いドアのようにゆっくり首をそこへ向けると、そこには達子と朱雀がいた。二人共、笑顔ではあったが怒りオーラ全開であった。龍二の顔に一気に冷や汗が流れ始める。

「い・・・・・・いやぁ、お二人さん。ど、どうしたの・・・・・・かなぁ?」

「ふ~ん。どうした、ですって?」

 朱雀が龍二の胸ぐらをぐいと持ち上げた。

「ほほう、私にこーんなことしてすっとぼける気?」

 朱雀の顔には、まるで子供のイタズラのようにマルバツや〝へのへのもへじ〟などといった落書きが描かれていた。

「あ、あは、あはははは。

───じゃ。俺はこれでっ」

 龍二は一瞬の隙をついて朱雀の手から逃れ、その後は全力疾走で逃走を開始した。

「あっ。待てゴラァ」

「逃げるな龍二ぃ!!」

 二人は悪鬼の形相でで彼のを追いかけた。

(何やってんだか)

 残された泰平は呆れ果てて盛大にため息をついた。全く、精神がお子ちゃまだなと彼らを見送りながらつくづくそう思った。そんな彼に為憲が近寄って耳打ちする。

「なあヤス? あの子ら、ほっといてえぇのか?」

 忘れていたように泰平は腰を抜かして唖然としている関平と星彩に眼を向ける。

 さてどうしたものかと考えている泰平の肩を政義がつついた。政義が指を差した方では、玄武が驚いている関平、星彩に気さくに話しかけている場面であった。

「ねぇねぇ。名前、何て言うの!?」とか「一緒に遊ぼうよっ!」とか言って彼らの周りをうろちょろと動き回っていた。

 関平、星彩はこの少年のはしゃぎっぷりに暫く呆然と視界に入れていたが、この少年がだんだんとなんとなく呉禁に似ていると感じると、次第に溶け込み始め、暫くすると彼を連れてどこかへ行ってしまった。

「・・・・・・これでよかったのか?」

「・・・・・・結果オーライッしょ? 多分」

「玄武って、こういう時は役に立つよね?」

「所謂適材適所ってやつじゃね?」

 それもそうかと泰平は政義・為憲と暫く雑談してから二人を連れて連れて城へ戻った。






「いい所ね。徐州は」

 のんびりお茶を飲みながら、劉備の親友公孫サン、字は伯珪はくけいは椅子に背を預けて背伸びをしていた。

「あはは、伯珪。君の所よりかはまだまだダメだよ」

「何謙遜してんのよっ。貴方の頑張りがこの徐州をここまでにしたんじゃないのよ!」

 ここは徐州城内にある賓館の一室。公孫サンと劉備は二人だけで久々の再会を楽しんでいた。

「そうだ。今度、例子達に会わせてよ。ほら、『不思議な力を持つ』子達」

「ああ。いいよ」

 談話はこの後二時間くらい続いたそうだ。

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