第23話 要らないスマホ

 私は携帯電話が嫌いだ。


 充電が面倒。

 どうして外にいる時まで電話に縛られるんだ。

 何かにつけて邪魔だ。


 理由としては充分なはずだ。


 実際、置いたまま忘れて出ることも多い。長期間、充電せず放置して寿命を尽きさせたものもある。それも一台や二台じゃない。


 そんな私が、数ヶ月前からスマートフォンを持たされている。半ば強制的に、である。

「お前は持たなくても良いかも知れないが」

「持っていてもらわないとこちらが困る」

 だそうだ。


 仕方なく共に行動しようと心がける。が、やはり忘れる。持って出ないし充電しない。


 結果、数を減らした公衆電話を探し回り。そこから相手の携帯にかけ。テレカの度数が凄まじい勢いで減っていくのを目にする。公衆電話から携帯電話への通話料は尋常でなく高い。あぁ、テレカとはテレフォンカードの略。説明しないと理解されないだろう。その程度は世の趨勢を知っている。


 とはいえ慣れとは恐ろしいもので。片手でメッセージを打ち返したりしている。


 でもキーボード繋ぎたいな、やっぱり。大体USBケーブルで充電するっておかしいだろ。本来そういう規格じゃないぞ。


 文句は尽きないが逃げられそうにない、今回ばかりは。うーん。


 あ、またバッテリーが上がってる。ほう、電池、完全に切らして再充電するとOSの起動が拝めるのね。


 前世紀の曲で「二十一世紀の憂鬱」ってあったな。正に21st Century Blues。


 誰かスマホが無い世界に異世界転移させて。勿論、物語の中だけで。

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