第4話 人

先日のことだが「喪中通知」で触れた故人の四十九日法要が営まれた。

お努めは通夜、葬儀に続いて同じ方だ。

開始時刻に遅れる参列者がいたのだが待つため間を繋いでくださる。

そして法要が始まる。

葬儀の時から思っていたが彼の声は良く通る。

しかも美声だ。

お経で心が洗われ癒されるような気になる。

その後の話も、物腰軟らかく非常に分かり易い言葉を選んでいる。

内容は理論的にも感じる。

聞くと仏教の世界に身を投じる前は学生に量子力学などを教えていたという。

道理である。

私は普段、宗教に感心が無く、お坊さんには小難しいイメージを持っていた。

だがそれはここに覆された。

結局、人、なのか。

これならお寺さんと付き合うのも良いかもな。

一人の住職によって故人を偲ぶ場は終始、和やかなものとなった。

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