第2話 喪中通知

身内が永眠したため喪中の葉書を書かねばならない。

だが故人が年賀状でお付き合いしていた方々に喪中のお知らせをするのはおかしい。

私自身が深く関わっていた人々ではない。

というか良く知らない名前が多いからだ。

そこで調べてみると、こういった場合。

つまり亡くなった本人とのみ親交があった方にお出しすべきは死亡通知だと知る。

しかし実際に死亡通知を作成してみると実に硬く冷たい印象になる。

他界直後なら兎に角、この季節では

「死にましたので、もうお付き合いは結構です」

と意訳可能な絶縁状にも取れる。

やはりそのような印象を持つ方も散見された。

死亡通知を出すと香典や花を持って来訪される場合もあるらしい。

困った。

正しいのは死亡通知である。

だが世間一般的には喪中の挨拶状でも問題ないとも思える。

ここまでで半日経過しているのだが。

取り敢えず両方、一部ずつ印刷し眠りにつく。

翌朝。

「うーん」

暫し見比べる。

どう考えても無難なのは喪中葉書。

決定。

私は無難という言葉に弱い。

文面的デザイン的に死亡通知を兼ねる様、工夫した後、刷った。

これで良いのか自信はないが失礼に当たらない程度には頑張った。

故人も文句はあるまい。

こうして「喪中通知」は完成した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る