白兎寮入寮
入寮
3月の下旬、雫石盆地の雑木林に囲まれた女子兎高等学校の敷地内に足を踏み入れるダウンジャケットやコートで厚着をした15歳~18歳の女の子達。
その中の一人、中学校時代の白地に赤いスカーフのセーラー服というオーソドックスな学生服の上にダッフルコートにマフラーを巻いて歩いていたのが、
特にスタイルが良いわけでもなく、髪型もおかっぱ頭とよく言えば清楚、悪く言えば地味な所謂「芋娘」だ。
「いよいよだ…私はこの学校で…バニーガールになるんだ!」
牧達一期生達は学園敷地内にある「白兎寮」の前に集められた。
「はーい、これより寮の鍵と寮の案内と寮内着を渡しますので、一列に並んでくださーい」
赤いメガホンを手に一期生を誘導しているのは寮監の
蓮は次々と白兎寮に入っていく一期生達に鍵と案内プリントそして寮内着の入った袋を渡していく。
「鍵やプリントはともかく寮内着って?」
牧は疑問に感じながらも白兎寮の中に入っていく。
白兎寮は外観・内装ともに雫石・八幡平地区でよく見かける「ペンション」タイプを大規模にしたものだった。
共用スペースであるロビー・ラウンジは岩手山が見える大パノラマのガラス張りの上に天井や壁のいたるところにガラス細工が施されていた。
(す…すげえ…寮ってレベルでねぇぞ…)
「おっと、私の部屋は…」
牧がプリントに自分の名前を探し出して見つけた寮の部屋名は「青バラ」だった。
(部屋名が花の名前になっているんだ。オシャレ~)
プリントに書かれている入居者名簿をよく見てみると、
白兎寮
青バラ部屋入居者
1年生:雫石牧
2年生:赤渕月
3年生:春木場望
(上級生と下級生が一つの部屋で暮らすんだ。変わっているなぁ~)
女子兎高等学校白兎寮独自の入寮システムに驚きつつも、青バラ部屋を探す牧。
ようやく“青バラ”と書かれた部屋を見つけ、そのドアの前に立つ牧。
(ここかな?)
-コンコン
「あの…失礼します」
牧が丁寧にドアをノックしてゆっくり開けると…
-ガチャ
「あ!いらっしゃーい!!」
「待ってたよ~!!」
既にルームメイトとなる茶髪ロングヘアーの2年生と黒髪セミロングヘアーの3年生がどちらもジーンズに長袖シャツといったカジュアルな服装で部屋の中で牧を出迎えた。
「は…初めましてっ!こちらの部屋に同室となりました、1年生の雫石牧ですっ!よろしくお願いしますっ!」
牧は深々と先に同室していた二人の上級生に頭を下げて挨拶をした。
「どうも~初々しいねぇ~」
「あたしは2年生に編入となる“
「私は3年生に編入する“
「こちらこそよろしくな!」
「はい!」
月と望の挨拶に牧は笑顔で返答した。
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