第25話 レイさんの半裸


 掃除もめどが立ち、ベッドでちょっと寝転んでいる。

んー、ちょっと疲れたな。



―― プルルルル プルルルル


 ん? 内線か?


「はいはーい。純一です」


『純一様、そろそろお夕食にしようと思いますが』


「分かった。ちょうどお腹が減っていたんだ」


『それはタイミングが良かったです。では、お待ちしております』


 部屋の掃除も一段落し、きりが良くなったのでご飯にしよう。

部屋を出て階段を下る。


 そうだ、リビングに行く前に手を洗ってトイレにも行っておこう。

俺はトイレに行き、その後に洗面所に。




――カチャ




 そこには半裸で着替中と思われるレイさんがいた。

下は黒のスラックス。上はブラいっちょ。

髪をクシでとかしながら鏡を見ている。


 レイさんを横から見ている状態だが、胸が結構大きい。

そして、ナイススタイル! ごっつあんです!

初めて会ってからあまり話もしないし、スタイルも良くわからなかったけど、大人の色気が……。

肌も白く、長い髪を後ろで一本にまとめようとしている。


 そして、俺と目が合う。見つめ合う二人。恋する予感?


「じゅ、純一様!」


「ご、ごめんなさい!」


 俺は大慌てで扉を閉める。

胸がドキドキ、バクバクしている。


『申し訳ありません。鍵をかけ忘れてしまいました』


「そ、そんなこと無いです。僕も確認もせず、申し訳ない」


『私だったら気にしなくて大丈夫ですよ。以前から良く見られていたじゃないですか』


 はい? よく見ていた? レイさんの下着姿を?

なぜ? なんで? どうして?

頭にハテナがいくつも浮かんでは消えていく。


「僕はレイさんの下着姿をよく見ていたんですか?」


『ちょっと違いますけど、よくプールにご一緒してましたよ』


「それって、下着ではなく水着ですか?」


『そうですね。下着も水着も変わらないですよ?』


 確かに露出度は変わらないと思いますよ?

でも、違うよね?

こう、何というか、色気というかグッとくるものが違うよね?


「そ、そうですか。分かりました。先にリビングに行ってますね」


『はい。私もすぐに行きますね』


 俺はいそいそとリビングに行く。

事故だけど、レイさんの色っぽい姿を見てしまった。

俺の記憶にしっかりと焼きつけておこう……。


 しかし、俺はプールに行っていたのか。

ここだけの話、俺は泳げない。

息継ぎができなく、クロールでもれなく溺れる。

顔を出したままなら二十五メーターはいけるのに、息継ぎだけができない。

誰か教えてくれ! 彼女が溺れても助けることができないじゃないか!


 助ける事ができたら、きっと人工呼吸だって……。


 そんな事を考えながらリビングに向かう。

お、いい匂い! 今日のご飯は、何だろうなー。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る