第23話 交流5
魔の刻~十字路で
逢魔が時は、夕方の薄暗くなる、昼と夜の移り変わる時刻のことをで、
魔物に遭遇すると言われる時間のことです。
十字路、これは十字に交わっている道路、その場所で、
辻、四つ辻とも言われています。
そんな時間、そんな場所で起きた事件の背景には
それはそれは悲しい過去と繋がっていました。
刑事『加瀬』は、18年前に同じ時刻のある十字路で起きた事件に目をつけ、
犯人を追い詰めていきます。
ミステリーはその根底には深い想いが隠れていることが多く
そうした人間模様が、私の心の琴線に触れることがあり、
人を愛するということの意味を教えてくれることがあります。
その日の午後、続きを読み終えた愛美は、早速パソコンを開いて感想を書きあげて下書きとした。
記事を書き上げてから再びMASATOのブログに飛んでみると、MASATOのファンの一人から新しいコメントが一つ入っていたが、それ以外は今朝見たときと大きく変化はない。やはりMASATOは今日、仕事なのだろう。愛美はそのままパソコンで次に読む本の参考にしようと、市の図書館の新着一覧を検索した。
お気に入りの作家の新着がないことを確認してから、ネットの小説の作品情報ページのミステリ―のカテゴリーの中からいくつかピックアップして、作品の内容紹介を読み漁り、面白そうなやつを数冊選ぶと、図書館にそれが置いてあるか検索すると、全部があることが判明し、それらを予約した。その中の一冊は、他に予約している人がなく、すぐに取り置きになることが予想され、取り置き期間のちょうど1週間後には学校が始まる。愛美は図書館まで休み中に行くことも考えたが、めんどくさがりの愛美は、始業式のあとに回ることにした。
「どうしようかな。あ、そうだ!!その前に読んでいた本の感想も書いちゃお」
愛美は『ふわふわさん』の前に読んでいた、『その道化師の名は』のあらすじを思い浮かべながら、もう一度作品紹介に目を通すため、その出版社のホームぺージへと飛んだ。
それにしてもだ。ただの偶然には違いないが、『道化師』とは、同じ時期にMASATOがクリニクラウンの記事をあげていて、愛美もタイトルに道化師とつく本を読んでいて、考えてみるとものすごくいいタイミングなんじゃないか。このタイトルの読書の感想記事を読んだMASATOが食いつくことに違いない。愛美はMASATOのブログのファン登録をしたおかげで、また一つ共通点を見つけることができ、ますますMASATOとの距離を近づけることができるのではないかと思い、胸にポッと灯がともったような温もりを感じた。
そうだ、ディズニーの記事のあとに投稿するのは、これにしよう。
その道化師の名は
昔、道化師の姿をした男が事件を起こすというニュースを見たことがある。
その姿からは、実際の顔を窺い知ることができず、
子供の頃に見たサーカスでも、道化師が近寄ってきたとき
私は怖くて母の身体に隠れたことがあった。
あのとき、そんな私に道化師は更にちょっかいを出してきて
それは楽しませてくれようとしていたのだと、今ならわかるけれど
その顔が、素顔が見えないことが恐怖だった私は、
それはただただ、怖いものでしかなかった。
そんな、素顔が見えない状態で、人を楽しませながら狙う人物に近づき
その警戒心を解き……と、
あまり書き進めるとネタバレになってしまうので、ここで終了(笑)
最近、ゲストさんの記事で、偶然にも『道化師』という言葉を目にし
それは怖い存在でもなんでもなくて、むしろ素敵な人に思えた。
要するに、それを悪用しようとする人が悪なだけで、
それを見極めることができるかどうか、注意が必要……かな(笑)
MASATOの名を出さずに、MASATOの記事を読んで自分がそう感じたことを匂わす記事にした。きっとMASATOはこのことに触れてくれるはず。そう思うと、愛美の心にともった灯は、その身体にまた温もりをくれた。
この記事も下書き保存とした。
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