三項
そういえば結婚式ってどんな服で行けばいいんだろうか。結婚式に招待されるのは初めてだから何も分からない。同級生はそれなりに結婚しているのだろうが、友人がもの凄く少ない私は結婚式に招待されることがなかったのだ。
白い服や派手すぎる服はダメだとテレビか何かで聞いたことがある気がする。主役は新郎新婦で、我々は有象無象の賑やかしとしてその場を彩らなければいけない。それに見あったドレスを買うところから始まるのか。バイト先の先輩も第一次結婚ブームの25歳前後は御祝儀代やドレス代で出費がかさむと言っていたな。他人の話は他人事で済むが、いざ自分に降りかかると面倒すぎる。鼻から欠席にすれば良かったものを、わざわざ個人的に『来てね。』なんて連絡されれば意志薄弱な私は行かざるを得ないのだ。本当にこの性格が嫌になる。
悪態つきながらも適当に目立たない地味で安いドレスを通販で購入した。独身者は他人の結婚式でも出会いを探すのだろうか。私には出来ない。他人と共に暮らすと意味もなく苛立ちが募ってしまうのだ。実家に戻らない理由のひとつでもある。快適な一人暮らしを体験してしまった以上、人と暮らすのは無理だ。結婚はしたくない。したくないが、憧れはある。そこまで人を愛して、幸せなんて羨ましい。『結婚は人生の墓場だ。』なんて言う人もいるが、少なくとも結婚しようと思うくらい幸せを共にした時期はあるはずだ。そんなに夢中になれる人がいるのは羨ましい。まだ出会ってないだけなのかもしれないが、でもたぶん私にはそんな人いない。私は残念ながら夢中なんて言葉とは程遠い。愛やら恋やらの感情は歳をとる事に忘れていっている。まぁそれでいい。これくらいで充分だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます